薬師寺は南部七大寺のひとつで法相宗(ホウソウシュウ)の大本山です。
なんと薬師寺は古都奈良の文化財として世界遺産にも登録されていて、建物や仏像など国宝や重要文化財も数多くあるんです。
そんな多くの仏様がまつられている薬師寺には、病気平癒や長寿のご利益があるといわれています。
ありがたい仏様にパワーをもらえる、ありがたいスポットなんですね!
でも、いざ薬師寺に来てみて
「行き方がわからなくて迷っちゃった!」「このお堂は何?わかんないけど人には聞けない~!」「え、意外とお金かかった…え、多く払ってた?!」
…なんてことになったら、せっかくの薬師寺参拝も楽しさが半減してしまいますよね。
私自身、お寺には学生時代の修学旅行で行ったきりなので、いきなり行ってもよくわからないまま何とな~く見て終わってしまいそうです。
そんなもったいない事は絶対なりたくない!!この記事では、薬師寺へのアクセスやお堂や塔などオススメの見どころ、御朱印や法話などについて解説していきます。
社員旅行や修学旅行で奈良に行くよ!なんて方は特に必見です!
目次
薬師寺へ行こう!駐車場やアクセスは?
薬師寺は奈良県に所在し、680年に天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気快復を願い建設された1300年の歴史を持つお寺です。
奈良の名物観光地としても有名で、車・電車・バスなど、どんな方法を使ってもアクセスがしやすいのが特徴です。
法相宗大本山 薬師寺 | |||||
〒630-8563 奈良県奈良市西ノ京町457 |
|||||
TEL 0742-33-6001 |
薬師寺は広い専用駐車場があるから車でも安心!
薬師寺には参拝者専用駐車場があり、駐車料金は以下のとおりです。
普通車 | 500円 |
中型車 | 2,000円 |
大型車 | 2,200円 |
バイク | 100円 |
※普通車:全長5m未満・高さ2.7m未満、中型車:全長7m未満・高さ3.3m未満、大型車:全長7m以上・高さ3.3m以上
専用駐車場は普通車127台・バス56台と、かなり多い台数が駐車できます。駐車場から直接薬師寺の参道に向かえるので、基本的にはこちらの駐車場を利用することになります。
広い専用駐車場で、しかも近くにあるなんて最高ですね!バイクを停める場所まであるので、ドライブやツーリングがてら立ち寄るなんてのも良いですね。
利用可能時間は8:30~17:00となっていますので、特に終了時間には気をつけましょう。
また、薬師寺付近にはコインパーキングもあります。
P |
タイムズ西ノ
京駅前 |
奈良市西ノ京町398 | 最大 500円/ 11台 |
P | タイムズ唐招 提寺東 |
奈良市五条町164
|
最大 500円/ 16台 |
P | akippa サン 薬局西ノ京店 駐車場 |
奈良市六条3丁目15−5 | 432円~/ 4台 |
コインパーキングを利用するメリットは17:00以降も利用できるという点です。
薬師寺の拝観時間が17:00までなので、時間いっぱいまで薬師寺を拝観した後に近辺を観光したい方や近辺で食事をしてから帰りたい方にオススメですよ。
ただし、近辺のコインパーキングはどこも収容台数が少なめで、さらに薬師寺付近の駐車場は最寄駅・西ノ京駅の最寄駐車場でもあります。
なので、駅の利用者が駐車場を利用する可能性も少なからずあります。コインパーキングを利用の際は満車に注意しましょう。
薬師寺に電車で行くと、駅から出てすぐ到着できる!
薬師寺は近鉄西ノ京駅より徒歩1分と、駅から出てすぐの場所にあります。西ノ京駅の東口から出て少し歩くと薬師寺の與樂門(ヨラクモン)が見えるので、そこから入ることができます。
奈良観光の拠点となり東大寺や興福寺などがある奈良公園エリアの近鉄奈良駅からだと、近鉄西の京駅までは片道260円です。約10分間隔で電車が出ているので、あまり待たずに電車に乗ることができます。
ただし、近鉄奈良駅から近鉄西ノ京駅まで行くには大和西大字駅で乗り換えが必要になります。
近鉄奈良駅から西ノ京駅まで電車で行く場合は、急行や各駅停車など乗る電車によって変わりますが平均20~30分くらいの時間がかかります。
薬師寺に行くなら、バスで奈良観光をしながらも良し!
JR奈良駅または近鉄奈良駅からだと、奈良交通バスを利用することができます。
奈良公園エリアから利用する場合はJR奈良駅の6番バス乗り場、近鉄奈良駅の8番バス乗り場から乗ることができます。西ノ京駅まで行く場合は「奈良県総合医療センター行き」に乗りましょう。
運賃は片道260円で所要時間は道路状況にもよりますが、約20~30分くらいとなります。
時間、運賃ともに電車とほぼ変わらないのに乗り換えの手間が無いので、奈良公園エリアからはバスを利用して行くのがオススメです。
奈良の町並みを見ながら移動できるという点で、バスでの移動は奈良観光にぴったりで楽しそうですね!
薬師寺は何時まで入れるの?拝観料はある?
薬師寺は拝観できる時間が決まっていて、拝観料が必要になります。特に拝観料は券によって拝観できる施設が変わりますので、事前に拝観したい施設を決めてから購入しましょう。
薬師寺の拝観時間は17:00まで!
薬師寺の拝観できる時間は、8:30~17:00です。ただし、受付は16:30で終了となります。
また、薬師寺の中には入れませんが22:00~5:00の時間帯は通年で美しくライトアップされます。
ライトアップされた薬師寺は昼間とは違い、幻想的でとても綺麗です。夜のお散歩なんかも素敵ですね。
薬師寺の拝観料は拝観する施設により前後する!
薬師寺には大きく分けて3種類の拝観料があります。共通拝観券以外は団体料金があり、25名以上で団体扱いとなります。
共通拝観券(通常券+西塔・食堂) | |
大人 | 1,600円 |
中高生 | 1,200円 |
小学生 | 300円 |
通常拝観券(白鳳伽藍のみを拝観できる) | |
大人個人/団体 | 800円/720円 |
中高生個人/団体 | 500円/450円 |
小学生個人/団体 | 200円/180円 |
通常拝観券(白鳳伽藍・玄奘三蔵院伽藍) | |
大人個人/団体 | 1,000円/1,000円 |
中高生個人/団体 | 700円/630円 |
小学生個人/団体 | 300円/270円 |
※食堂と玄奘三蔵院伽藍(ゲンジョウサンゾウインガラン)は期間限定公開でなので、必ずHPなどで確認しましょう
通常券で入場したあとに西塔・食堂に入りたい場合はあとから別に券を購入して入ることができます。
ですが、料金が各500円ずつなので後から券を買って西塔・食堂も入ると共通拝観券を買うより割高になってしまいます。
「安いやつでいいか、通常拝観券くださ~い」「あ、やっぱり西塔も見たいな」「あ!食堂公開してたんだ!せっかくだし見ていこう」
・・・なんて流れ、よくありますよね。でもこの流れで西塔・食堂の券を別々に買うと合計1,800円。1,600円で買える共通拝観券より200円高くなってしまいます。
大した額ではありませんが、「損した!!」という気持ちが頭の片隅にあるとなんとなくモヤモヤしたまま終わっちゃいますよね。
そんなわけで、どの券を買うか迷う方は、共通観覧券を買うのが一番確実で安心です。
また、時期によって特別公開している施設もあります。内容にもよりますが、その都度別途料金がかかる場合がありますので注意しましょうね。
薬師寺の見どころはどこ?お堂や塔や仏像など!
薬師寺には国宝や重要文化財に指定された多くの建物と仏像がまつられています。
金堂・講堂などを中心に東塔と西塔の2つの三重塔がある独特の並び方は、薬師寺式伽藍配置(ヤクシジシキガランハイチ)と呼ばれています。
それでは、薬師寺のお堂や塔、仏像について簡単にご紹介します。
薬師寺の中心、金堂(コンドウ)
薬師寺の中心にあるお堂で、ご本尊がまつられています。
もともとあった金堂は1528年に火災で焼け落ちてしまい、一旦仮のお堂が建設されました。
その後昭和43年に始まった「お写経勧進による白鳳伽藍復興(ハクホウガランフッコウ)」により、昭和51年に現在の金堂が建設されたそうです。
鉄筋コンクリートを用いるなど現代の建設手法も用いられていますが、外観は焼け落ちる前の薬師寺の建築様式に近いものがあります。美しいその佇まいは竜宮造りと呼ばれています。
竜宮造りというだけあって、おとぎ話の浦島太郎に出てくる竜宮城になんとなく似ている気がしますね。

金堂には薬師三尊像(ヤクシサンソンゾウ)、薬師如来台座(ヤクシニョライダイザ)、吉祥天女画像(キッショウテンニョガゾウ)があり、そのすべてが国宝です。
薬師三尊像は薬師寺のご本尊で、三尊の仏像が横一列に並んでいます。
心身の健康を護る仏様で、中央が薬師如来(ヤクシニョライ)、向かって右が日光菩薩(ニッコウボサツ)、左が月光菩薩(ゲッコウボサツ)といいます。
戦国時代、金堂は火災で焼け落ちてしまいましたが、なんと薬師三尊像は火災に負けず、ほぼ完全な姿で残っていたそうです。
火災に負けず創建から今まで現存しているなんて、すごいですね!このエピソードだけでも、なんとなく仏様の神々しい力を感じる気がします。
中心の薬師如来が座っている台座が薬師如来台座で、7世紀ごろの世界各地の文様が集約されているそうです。
吉祥天女画像は古来の絵画の中でも日本最古のもので、その絵画は当時の光明皇后の姿を写したものとも言われています。
吉祥天女は美と幸福の女神様で、五穀豊穣(ゴコクホウジョウ)や幸せをもたらします。吉祥天女画像は公開期間が限定されていて、1月1日~3日のお正月のみ拝観ができます。
美と幸福。女性は特に何より欲しいご利益かもしれませんね!私は切実に欲しいです…。
薬師寺で一番古い建物、東塔(トウトウ)
薬師寺の東塔は、創建当初から現存する唯一の建物で、国宝に指定されています。
6つある屋根の下から1,3,5番目の小さな屋根は裳階(モコシ)といい、飾りと風よけの為の屋根で内部は三層が重なった三重塔です。
その屋根の大小のバランスが美しくリズミカルなことから、凍れる音楽と評されました。
凍れる音楽・・・名付けた人はロマンチストですね!大きさの違う屋根を凍れる音楽と表現するなんて、私には到底思いつかないセンスです。
また、塔の最先端には塔が火災にあわないようにとねがいを込めて水煙がまつられており、飛天像が透かし彫りされています。
東塔が火災にあわないで創建から現在まで現存するのは水煙をまつった人々の願いと、この飛天像のおかげなのかもしれないですね。
東塔は2009年より史上初の全面解体修理をしていています。
引用:インスタグラム
2019年4月~5月に修理作業が公開され、その時点で95%修理が完了していたそうです。
次に東塔を拝観できるのは完成後で、修理作業の完了を祝う落慶法要(ラッケイホウヨウ)という法要を勤修する予定の2020年4月以降となります。
薬師寺の教主様をまつる場所、大講堂(ダイコウドウ)
薬師寺の大講堂は僧侶が集まり、主に薬師寺の宗派である法相宗の教えを学ぶ為のお堂です。
2003年に再建されたお堂で、正面約41m・奥行約20m・高さは約17mと奈良市内の仏堂建築の中でも特に大きいお堂です。
ご本尊の薬師三尊像がまつられている金堂より規模が大きい理由は、仏教研究を重視するお寺としての歴史を反映したものだそうです。
学ぶ事を大切にしているから学ぶ場所を大きくしているってことですね。
また、大講堂は僧侶や拝観者のためのスペースが広く作られている為、天井も高く大きく声が響きます。

大講堂には重要文化財の弥勒三尊像(ミロクサンソンゾウ)、国宝の仏足石(ブッソクセキ)・仏足跡歌碑(ブッソクセキカヒ)、釈迦十大弟子(シャカジュウダイデシ)の仏像があります。
重要文化財の弥勒三尊像は、薬師三尊像と同じく仏像が三尊並んでまつられています。
中心にはまつられているのは薬師寺の宗派である法相宗の教主の弥勒如来(ミロクニョライ)といい、向かって右が法苑林菩薩(ホウオンリンボサツ)、左が大妙相菩薩(ダイミョウソウボサツ)といいます。
また、弥勒三尊像がまつられている須弥壇(シュミダン)内には、法相宗の祖師である阿僧伽菩薩(アサンガボサツ)・伐蘇畔度菩薩(ヴァスバンドウボサツ)と仏法を守護する四天王もまつられています。
大講堂にある国宝の仏足石は現在日本に存在する最古の仏足石で、奈良時代の点平勝宝5年(753年)に天武天皇の孫である智努王(チヌオウ)によって造られたものです。
仏足石について、薬師寺はこのような説明をしています。
現在は、お寺に行って仏像を拝むのが一般的な仏教のあり方です。しかし、お釈迦様が亡くなられて数百年の間は仏像を作って拝むのではありませんでした。
仏教徒はひたすらお釈迦様の教えを学び修行に明け暮れるものであると同時に、尊い存在は形に現してはならないという習慣があったからです。
そこで、まるでお釈迦様が目の前にいらっしゃることを想像できるように、お釈迦様の姿そのものではなく、足跡を石に彫りました。
引用:薬師寺公式サイト
このことから、仏足石に彫られている足跡はお釈迦様の足跡であることがわかります。
数百年も形にしないままでいたお釈迦様…。そう考えると、頭でイメージして出てくるお釈迦様や実際にある資料なんかは、本当のお釈迦様とはぜんぜん違うお姿なのかもしれないですね。
仏足跡歌碑は、仏足石との直接的な関係は定かではありませんが、仏足石歌体という五七五七七七の独特なリズムで、この仏足に対する礼賛の歌や生死に関わる歌が刻まれています。
釈迦十大弟子はお釈迦さまの弟子の中で特に優れていた10人の弟子です。仏足石を中心に、横一列に並んでいます。
この像は2003年に再建された際に彫刻家で文化勲章受章者の中村晋也氏により奉納されました。苦しい修行を行ってきたその姿は、インド風の姿でそれぞれ違ったポーズをしています。
お釈迦様の弟子はこんな姿だったのか~、どんな修行をしてきたんだろう。と想像しながら見てみると、また違った見え方ができるでしょう。
薬師寺でお釈迦様をまつる場所、西塔(サイトウ)
薬師寺の西塔は金堂と同じく、1528年に礎石を残して兵火で焼け落ちてしまいました。
その後1981年に再建されて、現在に至ります。対になる東塔と比べると、西塔は色彩が鮮やかで創建当初の美しさを思わせます。
西塔はかつてはお釈迦様の遺骨をまつる為の建物で、東塔と西塔の初層にお釈迦様の生涯を八場面に分けて安置していましたが、現在でもその一部が伝わっています。

2015年以降から、釈迦八相像【西塔果相】がまつられています。
こちらも大講堂の釈迦十大弟子と同様に中村晋也氏が奉納された、お釈迦様の生涯の後半を表す仏像で、成道(ジョウドウ)・転法輪(テンボウリン)・涅槃(ネハン)・分舎利(ブッシャリ)を表しています。
成道とは悟りを開くこと、転法輪とは教えを説くこと、涅槃とは生死を超えた悟りの世界に入ったこと、仏舎利とはお釈迦様の遺骨のことを言います。
また、涅槃はお釈迦様の入滅および死を意味します。
…カンの良い方は気づきましたか?そうです。いきなりお釈迦様の生涯の後半についてで、前半はどこに行ったのでしょうか。
お釈迦様の生涯の前半を表す釈迦八相像は2019年時点ではまだ公開されていませんが、いずれ東塔に西塔と同じようにまつられる予定のようです。
西塔と東塔は見た目の雰囲気も公開の仕方も違った状態でしたが、2020年に東塔の再建が完了したらそっくりな対の塔として見ごたえがありそうですね。
薬師寺 食堂(ジキトウ)
薬師寺の食堂はその名のとおり、かつては僧侶が食事をする為に集まるお堂でした。
ショクドウと読みたいところですが、ジキトウです!私は調べるまでショクドウだと思っていました。
食堂の規模は僧侶が一度に300人集まることができ、一説では東大寺や大安寺に次ぐ大きさであったといわれています。
食堂は何度も再建を繰り返しています。730年頃に最初の食堂が建てられましたが973年に焼失、1005年に再建されましたがまた失われてしまいました。(2度目は年代不明)
現在の食堂は2017年5月に再建されたもので、公開されたばかりのかなり新しい建物となっています。
赤と白のはっきりとした色合いと正面のデザインがなんともいえない美しさと、色合いと大規模なスケールから圧倒的な存在感があります!
ちなみに、記事冒頭の写真は食堂の正面部分です。
2017年5月に再建され復興した食堂には、田渕俊夫画伯により描かれた食堂ご本尊阿弥陀三尊浄土図(アミダサンゾンジョウドズ)と、全長50メートルにわたる壁画、仏教伝来の道と薬師寺がまつられています。
壁画は遣唐使の姿や藤原京・平城京の風景など仏教が日本へ伝わった時代の様子が描かれています。
壁画のタイトルは旅立ち・遣唐使船・大和へ・瀬戸内・帰帆・御津の浜松・大和川・飛鳥川・うねび・みみなし・天のかぐやま・飛鳥寺院幻想・藤原京・平城京と計14枚です。
また、食堂は公開期間が決まっていて、食堂特別公開というタイトルで春・お盆・秋の特別公開期間のみ拝観可能となっています。料金は拝観料とは別途で500円かかります。
薬師寺で最も美しい観音様がまつられている場所、東院堂(トウインドウ)
薬師寺の東院堂は東塔と同じく、建物そのものが国宝に指定されています。
東院堂は717~724年の間に吉備内親王(キビナイシンノウ)が元明天皇(ゲンメイテンノウ)の冥福を祈り建立されました。
当時は今より東側に建てられていましたが、973年に火災で焼失してしまいました。
その後東院堂は1285年に南向きで東院堂が再建されましたが、1733年に現在と同様の西向きの建物に変更されたそうです。
薬師寺のお堂やお寺は赤を基調にした華やかな建物が多い中、東院堂は落ち着いた雰囲気で風情があります。
東院堂には国宝の聖観世音菩薩像(ショウカンノンボサツゾウ)と重要文化財の四天王立像(シテンノウリュウゾウ)がまつられています。
聖観世菩薩像は人々の悩みや苦しみや悶えを救ってくださる仏様です。
日本屈指の美しい観音様といわれており、衣のひだや足の表現などはインドのグプタ王朝文化の影響を受けたものです。
黒と金のはっきりとした色合いと精密な造りが美しく、より神々しさを感じる仏様です。
四天王立像は、聖観世菩薩像を守護するように四尊並んでいます。
四天王は古代インドの神が仏教にも守護神として取り入れられたもので、東に持国天(ジコクテン)、南に増長天(ゾウチョウテン)、西に広目天(コウモクテン)、北に多聞天(タモンテン)となります。
多聞く天の台座に記された銘文によると、四天王立像は1289年に作られ1296年に彩色が完成したと記述されています。
重要文化財に指定されたのは2018年と、実はかなり最近の話なんです。
薬師寺にまつられている仏像の中でも、守護神らしい力ポーズと誇張的な表現が特徴的で存在感のある仏像で、今にも動き出しそうに見えまね。
薬師寺で三蔵法師の遺骨をまつる場所、玄奘三蔵院伽藍(ゲンジョウサンゾウインガラン)
玄奘三蔵院伽藍は1991年に新築された、他のお堂や塔とは違った新しい伽藍です。
建物の名前になっている玄奘三蔵は古代中国の僧侶で、あの有名な西遊記に登場する三蔵法師なんです。
当時まだ中語に伝来していなかった経典を求め、玄奘三蔵は17年もの旅をしました。
旅を終えて帰国した際にはその成果や多数の経典を持ち帰り、東アジアの仏教文化を大きく発展させた人物となりました。
玄奘三蔵院伽藍とはそんな玄奘三蔵の遺骨を納める場所です。

玄奘三蔵の教えは後世へと引き継がれ、弟子の慈恩大師(ジオンダイシ)により法相宗として大成し、日本へも伝来しました。
現在は薬師寺と興福寺が法相宗大本山で、玄奘三蔵は法相宗の鼻祖として仰がれています。
納められている遺骨は日本と中国で分けられ、日本ではこの薬師寺と埼玉県さいたま市の慈恩寺にのみ納められています。
玄奘三蔵院伽藍2000年12月31日に平山郁夫氏により奉納された、玄奘三蔵の旅の道のりを描いた大唐西域壁画も展示されています。
玄奘三蔵がシルクロードを辿って天竺まで旅した姿を描いた壁画は圧巻の見ごたえです。
公開期間は1月1日~1月8日、3月1日~6月30日、8月13日~8月15日、9月16日~11月30日と公開している期間はかなり長いです。
ですが、それでも一年間のうち半分くらいなので、拝観をする際はHPなどであらかじめ期間を確認しましょう。
薬師寺の御朱印はどこに行けばいい?御朱印帳はある?
薬師寺の御朱印はお堂や塔によって種類があり、初穂料は各300円です。数が多く期間限定の御朱印もあるので、どこに行くか事前に計画しておくと安心です。
薬師寺の御朱印は大講堂・東院堂・食堂・玄奘三蔵院伽藍でいただける!
薬師寺では大講堂、東院堂、食堂、玄奘三蔵院伽藍で御朱印をいただくことができ、種類は以下のとおりです。
場所 | 種類 | 詳細 | 限定 |
大講堂 | 薬師如来 | 西国四十九 薬師霊場の 第一番札所 |
|
瑠璃宮 | |||
御詠歌 | |||
弥勒佛 | 弥勒仏 | ||
南無佛 | 仏足石 | ||
吉祥招福 | 吉祥天女 画像 |
● | |
瑠璃華 | 西ノ宮 ロータス ロード |
● | |
東院堂 | 聖観世音 | ー | ● |
食堂 | 無量光 | ー | ● |
玄奘三蔵 院伽藍 |
不東 | ー | ● |
※限定にチェックのある御朱印は、公開時期やイベントによって期間限定でいただくことのできます
瑠璃華の御朱印は蓮の時期である初夏に行われる奈良・西ノ京 ロータスロードというイベントに参加した場合にいただくことができます。
西大寺、喜光寺、唐招提寺、薬師寺をつなぐ道をロータスロードといい、この四ヶ寺を巡ることができる特別ご朱印めぐり・四ヶ寺拝観券が各お寺で計2000枚の限定販売をされています。
蓮を見ながらお寺巡りができるので、これは見逃せないイベントですね!特別券が手に入らなくても、各お寺で拝観券を買って拝観すれば同様に御朱印もいただけるので、安心してくださいね。
インスタグラムやツイッターなどでも薬師寺で御朱印巡りをしてきた方が多く見られます。御朱印ブームの中でも奈良はお寺が多くて距離感覚も近いので、御朱印巡りをするのに特にオススメなんです。
引用:インスタグラム
この投稿の写真に写っている御朱印は、左から不東の御朱印【玄奘三蔵院伽藍】、無量光の御朱印【食堂】、聖観世音の御朱印【東院堂】、薬師如来の御朱印【大講堂】です。
三蔵法師のお姿や蓮の華、お釈迦様の足跡など、場所によりデザインの違う御朱印が個性的で素敵ですね。
食堂、玄奘三蔵院伽藍、吉祥天女画像、ロータスロードなど公開期間中やイベント中に限定でいただける御朱印は特に見逃せません!
御朱印めぐりをメインに拝観予定の場合は目的の場所が公開している期間に行きましょう。
薬師寺の御朱印帳は2種類!
薬師寺では御朱印帳が販売されています。サイズは18×12cm、価格は1,200円です。
赤と紺の2色があり、購入時に現物を見て選ばせてもらえるようです。表紙は布張りで、東塔の水煙と飛天をモチーフにした箔折りが高級感があります。
https://twitter.com/deracine2d/status/712572345525735424
引用:ツイッター
個人的には紺と金の色組み合わせが大好きなので、私は断然!紺を選びます。でも御朱印帳を選ぶときには好みで決めるべきだと思うので、実際に現物を見て自分の好きなデザインを選んでくださいね。
薬師寺ではいつ法話が聞ける?
法話とは、仏教において僧侶や住職が民衆の前で話をすることを意味します。内容は主に仏法を賛嘆するもので、説法や説教ともいいます。
薬師寺はそんな法話が人気で、固く難しいイメージとは裏腹にユニークでわかりやすい法話なんだそうです。
1967年より31年間管主を務めた高田好胤(たかだこういん)師が副住職時代に修学旅行生相手にユニークな説法を始めのをきっかけに、現在説法は薬師寺においてひとつの伝統となっています。
薬師寺では修学旅行などの団体向けに20~30分の法話を無料で行っています。
薬師寺から比較的近い場所限定にはなりますが、宿泊先のホテルや学校まで僧侶の方が来て法話をしてくれる場合もあるそうです。
薬師寺を拝観する前に法話を聞く事で、よりわかりやすく楽しく見学することができそうですね。
薬師寺で法話を聞けるのは毎月5日と8日!
薬師寺では基本的に月に2回、それぞれ法要のあとに行われます。約1時間ほどの法話で、予約は不要です。
日にち | 開始時間 | 会場 |
5日 | 14:00~ | まほろば会館 |
8日 | 13:00~ | お写経道場 |
薬師寺の法話は人気で、講師を勤める僧侶の方も薬師寺より出張して法話をすることもあるそうです。
薬師寺で写経はいつできる?持ち物は?
薬師寺では1968年より白鳳伽藍復興の為に写経の勧進を行っています。
写経とは心を落ち着ける為に行う仏教の修行のひとつで、お経を一文字一文字丁寧に書くことで自分の心のあり方を見つめる良い機会です。
薬師寺での写経は持ち物不要!家でもできちゃう!
薬師寺には写経をするためのお写経道場があります。8:30~17:00年中無休、予約不要で体験できます。つまり、薬師寺が拝観できる時ならいつでも体験できちゃうんですね。
道具も施設内に完備してあるので、何も用意せずに手ぶらで体験に行くことができます。
書き終わった写経は薬師寺に納めると納経蔵に永代供養されるので、帰りに荷物になる心配もありません。
宗教・宗派問わず体験できるので誰でも写経をすることができ、書く為の道具は鉛筆か筆で選べます。

また、薬師寺の写経は自宅でも行うことができます。自分自身を見つめる為の修行なので、薬師寺に行かなくてもできちゃうんですね。
薬師寺のHPでお写経用紙、手本、作法のマニュアルがセットになったお写経セットが申し込みができるので、写経したいけど薬師寺まで行くのは大変だな…なんて方にオススメです。
写経には種類があります。
般若心経 | 2,000円/1巻 |
薬師経 | 4,000円/1巻 |
唯識三十頌 | 5,000円/1巻 |
東塔大修理特別写経 全10組20巻 |
10,000円/1組(2巻) |
特に希望が無い場合は身近に感じやすくてリーズナブルな般若心経がオススメです。
また、東塔大修理特別写経は東塔を修繕している今しかできない写経なので、少しお高めですが特別な写経なのでオススメです。
参拝したあとに写経で心をまっさらにして、清々しい気持ちになっちゃいましょう。
薬師寺はコンサート会場でもある!
薬師寺はお寺でありながら、大講堂の前に特設会場を設置してイベントやライブ、コンサートが開催されることがあります。
普段はおごそかな雰囲気の薬師寺ですが、当日は参加者の人数の多さやライブの熱気で賑わっています。
ライブによっては、チケットに薬師寺のお堂や塔を拝観できる券も付帯しているようです。
早めの時間に現地に行ってライブ前に薬師寺をはじめ奈良観光を先にするのも楽しそうですね。
イベント会場としての座席に関しては、毎回特設で会場を作る為イベント毎に変わります。薬師寺でライブなどに参加する場合に当日まで座席のイメージが沸きづらいのは仕様です。
https://twitter.com/TAKAFUM12720838/status/1122117045162655744
引用:ツイッター
開催時は土日祝が多く人の出入りが激しくなるので、イベントは関係なく薬師寺を拝観に行く時にはイベント情報を確認しておく必要があります。
まとめ
いかがでしたか?薬師寺は世界遺産に指定されているだけあって、貴重な文化財が多く見どころ満載のお寺ですね。 私はお寺にはあまり関心がなく、学生時代の修学旅行では「奈良といったら大仏と鹿くらいしか覚えてない」と言ってしまうタイプでした。 でも実際に調べてみてみたら、こんなに貴重な文化財が多くて見どころ満載のお寺はそう無い!すごい!!と感動しちゃいました。 学生時代、よくわからないまま記憶に残らない…なんて、すごくもったいない事をしていたんですね。 この記事を読んで、こんなもったいない人が少しでも減って欲しいものです。 ちなみに当たり前ですが、薬師寺は建物内はほとんどが撮影禁止となっています。その為事前に仏像の写真を見ようと思って探しても、なかなか見つけることができないと思います。 薬師寺を参拝するときは記念撮影はほどほどにして、思い出を心に刻むようにじっくり見て回ってくださいね。
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