
街中で献血の呼びかけを見てみると「〇型の血液型が足りません」というのぼりがあげられています。
でも本当に足りないのでしょうか、また特に足りない血液型はあるのでしょうか。
輸血用血液はすぐになくなる状態ではありません。しかし大きな事故や災害が起こると足りない状態になってしまいます。
そのため常に新しい血液が必要な状態なので、足りない血液型が出ないように献血では呼びかけを行っています。
血液は不慮の事故だけでなくほとんどの場合ガン治療に使われています。
血液は人工的に造ることができませんし、有効期限が来れば廃棄しなければいけません。
この記事を読めば献血の重要性が分かりますよ。血液が足りないのは本当なのか一緒に見ていきましょう。
献血で足りない特定の血液型はなく全て必要です

献血で特に足りない状態の血液型は何だと思いますか?
実は、特定の血液型が不足しているわけではなく、全ての血液型が必要な状態です。
血液は一定数の数を確保しているためすぐにストックが無くなる状態ではありません。
しかし、大事故や災害が起きた場合など大量に輸血が必要になった場合、治療に使うはずの血液も必要となります。
日本人の血液型の割合は、A型40%、O型30%、B型20%、AB型10%です。
日本人はA型が一番多いですよね、ですので輸血に必要な血液が多く必要になります。
O型も2番目に多い血液型です。こちらも輸血に必要な血液が多く必要となります。
また緊急時にはどの血液型にも使用ができるので足りない時期が出てきます。
B型AB型は少ないですが、献血で集まる数も少ないのでやはり常に数が必要です。
また、血液は有効期限があり、有効期限が過ぎれば輸血に使われる前に廃棄されてしまいます。
そのため、献血では常に呼びかけを行っています。
献血でO型が足りないと呼びかけられている理由は何か
血液は一定数の数を確保しているためすぐにストックが無くなる状態ではありません。
しかし、「赤十字社はO型の血液が足りません」と呼び掛けています。
また、日本人はA型が一番多いはずですが、なぜO型が足りないと呼び掛けているのでしょうか。
これは、O型の血液型が緊急時の場合他の血液型にも輸血できる万能な血液型だからです。
厳密に言うと、全血献血と呼ばれている400mL献血から得られる赤血球製剤のことを指します。
「赤血球製剤」という言葉が難しいですよね、こちらは下記で詳しく説明しようと思います。
医療現場で輸血する際、基本的には副作用をおこさないために同じ血液型を使います。
しかし、血液型を調べる暇がないほどの緊急時の場合はO型の赤血球製剤を輸血することがあるようです。
このため、O型の血液型は常に必要な状態にあるのです。
献血に協力する人の血液型にO型が多い理由
献血に来られる方の血液型を調べるとO型の方が多いというデータがあります。
「O型の人は自分の血液型が全ての血液型に対応できることを知っているからではないか」というのが仮説としてあるからのようです。
私には、O型の友人がいるのですが、その友人がよく献血に行っていた記憶があります。


また、献血後に100%ジュースが貰えるのも嬉しいのだそうです。
ジュースは個人的な意見ですが、O型だけの特別感がボランティア精神をくすぐるのかもしれません。
私もO型なのですが、まだ献血をしたことがありません。
今回「O型の血液型は緊急時に全ての血液型に対応できる」と調べることができて、献血に参加してみようと思いました。
他のO型の方々もこのような気持ちになるため、献血に来られるO型の方が多いのかもしれませんね。
献血が足りないなら必要な人に届いていないのか

献血では全ての血液型がまんべんなく必要なことが分かりましたが、O型の血液型が医療面では重要であることも知ることができました。
驚いた事に、献血で集められた血液のほとんどはガン治療に使われているそうです。
今や2人に1人がガンになってもおかしくないと言われていますよね。献血で集められた血液は必要な医療現場に届いているのでしょうか。
また届いているならどのような過程を経ているのか、集められた血液がどのように輸血用血液に変わるのか、気になります。
輸血を本当に必要としている患者さんに届いているのか、一緒に見ていきましょう。
輸血用血液は本当に足りない状態なのか?
日本赤十字社によると計画的に献血を実施することで、血液を確保しているため、すぐに足りない状態ではないようです。
しかし、日本は少子高齢化を迎えており、輸血を受けている約85%が50歳以上となっています。
ガン治療に血液の種類は関係ありませんので、全ての血液型が常に必要となります。
献血で集められた血液は必要な方々に届いているのでしょうか。また将来的な見通しとして献血の全体の量に増減などはあるのでしょうか。
献血をおこなった年齢層は約76%が50歳未満で、その内16~29歳は約25%となっています。
今後、高齢化が進めば血液の確保が難しく足りない状態になる可能性が高くなります。
また大きな事故や災害が起こればそれだけ輸血が必要となる人数は増え、治療に使われる血液が減ったり、足りない状態になってしまいます。
私は今まで、献血で集められた血液がほとんどガン治療に使われていたことを知りませんでした。
父も胃ガンになりました。そのときに多くの方の献血があったからこそ完治したのだと分かりました。
今後、恩返しにぜひ献血に参加したいと思います。
献血で集められた血液が輸血用血液になるまで

献血で集められた血液をそのまま輸血しているイメージがあるのではないでしょうか?
実は輸血できる状態にするまでに血液センターに送られ、多くの検査を行い、輸血用に数種類に分けられます。
献血には「全血献血」と「成分献血」の2種類の献血方法があります。
1つ目の「全血献血」は400mLと200mL献血があり、血液中全ての成分を献血します。
2つ目の「成分献血」は、血小板や血漿(けっしょう)といった特定の成分だけを採血して、赤血球は再び体内に戻す方法です。
全血献血により失った赤血球は体内で回復するにに3~4週間かかります。
赤血球を戻すことで、献血者さんの身体への負担も軽く、多くの血漿(けっしょう)や血小板を得ることができます。
こうして集められた血液はどうなるのでしょうか。
<検査>
各献血ルームから集められた血液はまず検査を行います。
1回の献血につき検体は5本となります。それぞれに同じバーコードが貼られているので取り違えることはありません。
5本の内、4本の検査内容は「血液型検査用」「血球計数検査用」「生化学感染症検査用」「NAT検査用」となり、各1本ずつです。
残りの1本は「保管用(遡及調査のため)」に分けられています。
「肝炎ウイルス検査」「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」などに感染していないか、入念にチェックします。
遡及調査(そきゅう調査)とは、製剤による副作用や感染症の発生原因 を、その原料までさかのぼって調査することです。
つまり、輸血によって患者さんに何らかの副作用や感染が確認された場合の原因究明のために検体を保管する必要あります。保管期間は11年です。

とても心配になりますよね、でも安心して下さい。
万が一輸血が原因で患者さんに感染症や副作用が起きても、献血を行った方には責任は及びません。
ただし、副作用の原因調査のために再調査や再採血が必要になることがあります。
ですので、感染症を持っている方は献血を控えなくてはいけません。
もちろん、集められた血液は厳重に検査はされていますが感染が初期段階の場合もあるので、100%ではありません。
個人個人が、マナーをしっかり守って献血に臨んで頂く必要があります。
<製造>
検査が終わった血液は、白血球除去を行い、分離され製造過程を得て「製剤」となります。
- 全血献血…赤血球製剤と血漿(けっしょう)製剤と血小板製剤
- 成分献血…血漿(けっしょう)製剤と血小板製剤
分離された血液は、検査結果と照らしあわせ、すべて合格した血液のみが輸血用血液製剤となります。
輸血用血液製剤の種類は、「赤血球製剤」「血漿(けっしょう)製剤」「血小板製剤」「全血製剤」と主に4つに分かれます。
上記で述べていた「O型の血液型が緊急時の場合他の血液型にも輸血できる万能な血液型」というのは「赤血球製剤」の使用時です。
<保管・管理>
それぞれの製剤は保管に適した温度また有効期限も違います。
各病院へ24時間365日対応できるように計画的に管理されています。
製剤名 |
保管温度 有効期限 | 使用目的 |
赤血球製剤 (O型の血液が使用可) |
2~6℃ 採血後21日間 | 出血および赤血球が不足する状態、またそれにより機能低下による酸素欠乏のある場合 |
血漿(けっしょう)製剤 |
-20℃以下 採血後1年間 | 複数の血液凝固因子の欠乏による出血、または出血傾向のある場合 |
血小板製剤 |
20~24℃ 採血後4日間 要振とう | 血小板数の減少とその機能低下による出血または、出血傾向のある場合 |
全血製剤 |
2~6℃ 採血後21日間 | 大量出血などですべての成分が不足する状態や赤血球と血漿(けっしょう)の同時補給を必要とする場合 |
献血された血液を分離することで無駄なく使われるのですね。
献血が足りないことは本当と分かったけど疑問も残る

献血での呼びかけで血液がすぐに足りない状態ではなく、不慮の事故や災害があった場合、足りない状態になる可能性があるといういうことが分かりました。
しかし、調べてみると本当?と疑問に感じる事柄が見られます。
やはり献血するなら本当か疑問に思ったことがあるとモヤモヤして足が遠のいてしまいますよね。
安心して献血できるように本当かどうか疑問を解決していきましょう。
献血には条件がある!手順や注意点など紹介
「献血に行ってみよう」と思っても当日の流れや献血後で注意すること、献血を受けるための注意点など初めての方だと色々気になることがありますよね。
始めに、当日の流れと献血後の注意点を1つずつ見ていきましょう。
- 献血受付
- 質問への回答
- 問診や血圧、体温測定
- ヘモグロビン濃度測定および血液型事前検査
- 採血
- 休憩
- 献血カード(献血手帳)受け取り
<献血受付>
身分証明書が必要となります。「氏名」「生年月日」「顔写真」の3項目が確認できる証明書が必要です。
<質問への回答>
献血される方の安全を守り、輸血を受ける患者さんが安心できるように、献血者の健康状態の質問に回答します。
<問診や血圧、体温測定>
投薬や健康状態を正直に話して下さい。嘘の申告はマナー違反となります。プライバシーはしっかり保護されていますので安心して下さい。
<ヘモグロビン濃度測定および血液型事前検査>
献血が安全に行えるかどうか採血します。また血液型が「何型か」「Rh+か-」などを調べます。
ヘモグロビン濃度が採血基準を満たしているか、血液型の事前検査などを行います。成分献血の場合は、血小板数の測定をします。
<採血>
ベッドに横になり採血を開始します。採血時間は、全血献血で10~15分程度、成分献血は40~90分程度時間がかかります。
成分献血は、採血量で時間に幅が出てしまいます。
<休憩>
献血後は、休憩場所で十分に水分補給をしましょう。少なくとも10分以上は休憩をして下さい。移動する際は十分に注意しましょう。
<献血カード(献血手帳)受け取り>
献血カードは献血記録になりますので、なくさないようにしましょう。
献血カードの裏面には次回献血可能日などが印刷されています。
<献血後の注意点>
- 献血後は2時間以上経過をみて入浴する
- すぐに運動をしたり、重いものを持ったりすることは避ける
- ごくまれに急な血圧変化により気分不良になる場合がある
- 針を刺した部位に痛み、しびれなどが残る場合は職員に連絡する
当日の流れや献血後の注意点が分かりました。

献血を受けるための注意点は何があるのでしょうか、代表的な事例を取り上げました。
<風邪をひいている場合>
風邪の症状の中でも重大な感染症の場合がありますし、献血をして副作用が出る恐れもあります。
風邪のときは献血ができません。また昨日まで風邪だった方は問診での医師の判断によりますので正直に申し出ましょう。
<飲酒した場合>
当日の飲酒は献血ができません。また前の日の飲酒でも二日酔いを起こしている状態ですと献血はできません。
<歯医者に通院している場合>
出血を伴う治療(歯石除去を含む)を受けた場合は治療後3日間は献血できません。
詰め物だけなら問題ありませんが同時に他の治療を行った場合も3日間は空けましょう。
3日間開ける理由は、歯科治療した際、口腔内常在菌が血液中に移行する可能性があるからです。
献血を予定しているのであれば、歯医者の治療後3日間は空けるようにしましょう。
<薬を服用している場合>
ビタミン剤やごく一般的な胃腸薬の場合は献血できます。
しかし、医師の処方が必要な薬を服用している場合、病気の種類や服用している薬の種類により献血できない場合があります。
また、外用薬、坐薬、点眼または点鼻薬等についても、医師の判断により献血をできない場合があります。
花粉症の薬の場合は、治療中の程度によって献血に差し支えが出るような強い症状の場合は献血できません。
軽い症状の場合は花粉症の薬を飲んでいても多くの場合献血できます。それ以外の場合は問診のときに医師の判断に従いましょう。
<過去に輸血を受けた人の場合>
輸血を受けたことがある方は、献血ができません。
これは輸血によって現在の検査方法では検出できないウイルスや未知のウイルスの感染の可能性を考えてのことです。
輸血を受けた方が何かしらのウイルスに感染しているわけではありません。
その他にも注意項目がありますので、日本赤十字社のホームページで確認しておきましょう。
集められた血液が捨てられるのは本当?
上記の表でも分かる通り、献血で集められた血液は長期保存ができません。
血液は人工的に造ることができませんので、足りない状態を回避するために献血への呼びかけを行っています。
有効期限が過ぎてしまった血液はどうなってしまうのでしょうか。
有効期間を過ぎた輸血用血液は、今後輸血についての分野がより発展していくための研究や検査試験薬製造等に有効活用されます。
また、他の研究機関との共同研究にも使用されているようです。
しかし、上記以外の血液は感染性医療廃棄物として適切な管理のもとに処理されています。
輸血に使われない血液が出ている現実がありますが、できるだけ無駄にしないように有効利用しているのですね。
常に献血を行うことがいかに大事か分かりますね。
献血を行う人数が減少する時期があるって本当?
献血は1年を通して呼びかけを行っていますが、血液が集まらない時期があります。
長期休暇や年末年始の時期は献血が集まりにくく、血液が足りない状態にあるようです。
血液には有効期限がありますので、均等に血液が確保できた方がいいですよね。
確かに、長期休暇は旅行に出かける方も多いでしょう。旅行前に献血に行くことは体力的に不安ですよね。
また、年末年始も色々忙しく、しかも冬場は寒いので体調を崩しやすく服薬している方も多く献血ができない人が増えます。
色々課題がありますが、不足しやすい時期を知っておくことで、献血に行くタイミングを一人ひとり調節することができます。
献血で集められた血液が無駄にならずにすむ1つの工夫になるかもしれませんね。
献血では全血献血400mlを勧められるって本当?
全血献血の場合200mlと400mlの2種類がありますが、400mlを勧められることが多いようです。
「200ml受付締め切りました」と言われたという声も聞きます。
これは400mlの方が輸血の際、患者さんの安全性が高くなるために行われています。
同じ血液型とRh型が同じでも一人ひとりの血液型は微妙に異なっています。
異なる人の血液が多く入っている200mlは輸血の際、副作用が発生する可能性が高くなります。
例えば「A型Rh+」の方が同じ「A型Rh+」を800ml輸血するとします。
200mlの場合4袋、400mlの場合2袋ですね。献血の提供者の人数が多ければ多いほど副作用のリスクが高くなります。
命を救うための献血ですので、患者さんの負担を考えて400mlに協力できたらと思います。
献血で嘘の申告をする人が居るって本当?
これは絶対あってはいけないことなのですが、ごく稀にあるようです。
献血で集められた血液は必ず厳しい検査を通しますが、感染の初期段階では検査をすり抜けてしまう恐れがあります。
特にHIV感染は「NAT検査」で厳格に検査されていますが、100%ではありません。
自分がHIVに感染していないか検査して欲しいがために献血に来る人がいるという噂も聞いたことがあります。
献血は命のバトンであり、個人の病気の検査機関ではありません。
検査機関は他にありますので、HIVだけでなく感染症の疑いがある方は献血を控えるようにして欲しいものです。
まとめ

- 特定の血液型が足りないわけでなく、全ての血液型がまんべんなく必要
- O型の血液型は他の足りない血液型の輸血に使える
- 献血には「全血献血」と「成分献血」の2種類があり、「全血献血」は400mlを勧められる
- 血液には有効期限があるため、血液が足りない状態にならないために献血での呼びかけが大切になる
- 献血で集められた血液は検査や製造などを得て輸血用血液製剤になる
- 輸血用血液は有効期限が過ぎると研究に使われるが廃棄する部分も出てくる
- 献血を呼び掛けても血液が集まりにくい時期がある
- 感染症などが疑わしいときは献血を控えるようにする
献血については漠然とした知識しかありませんでしたが、調べてみると私達の身近な存在であることが分かりました。
輸血はいつ必要になるか分かりませんし、自分が必要になるかもしれません。
私も献血を行い、多くの人に貢献できたらと思います。