契約書の署名捺印が終わり、「契約締結後に誤字脱字が見つかった…。」と焦っているあなた。
頭が真っ白になり、冷や汗が流れ落ちるくらい焦りますよね。
この記事では契約書の訂正方法と、訂正内容を記入するスペースがないときの対処法を解説しています。
契約書には細かい字で文書が書かれているので、スペースがないことが多々ありますよね。
訂正内容を記入するスペースがないときは、上下にある余白に記入しても問題ありません。そして二重線上に押印する訂正印も省略できます。
契約書の訂正に関する疑問や、訂正するときにやってはいけない事もまとめているので、あなたの悩みが解決できますよ!
そしてこの訂正方法は、契約書以外の重要書類にも使えるので覚えておいて損はありません!
目次
契約書を訂正するときスペースがない!?解決方法とは

訂正方法は後ほど詳しく解説しますが、訂正箇所を二重線で引き、その上に押印します。
そして契約書が横書きの場合は上に、縦書きの場合は右に訂正内容を記入していきます。
横書きの場合、訂正箇所のすぐ上に記入するスペースがないときは、訂正箇所の下→右→左の順で空いているスペースに記入しても問題ありません。
縦書きの場合、右→左→上→下の順で訂正箇所近くの空いているスペースに訂正内容を記入します。
訂正箇所の近くに、全くスペースがないときは、同じぺージの一番上もしくは一番下の余白に、訂正内容を記入できます。

二重線を引いた箇所に、重ねて押印するスペースがない場合、押印は省略し、訂正内容を記入した箇所に重なるように押印します。
上下の余白に記入するときは、下の契約書見本を参考にしてください。

契約書を訂正するとき、署名捺印前であればパソコンに保存しているデータを修正し、印刷し直せばいいだけです。
しかし、署名捺印をもらったあとに、誤字脱字に気付いたら手書きで訂正をしなければいけません。
普段、契約書を手書きで訂正する機会が少ないので、いざというとき困りますよね。
私も約3年半、契約書を作成したり、確認したりしていましたが、たった1度しか手書きで訂正したことはありませんでした。
本来であれば、契約書の原本に誤字脱字はあってはいけませんが、人が作業しているので完全にミスをなくすことができないのも事実です。
契約書に署名捺印をもらう前に、何度も見直して誤字脱字がないよう気を付けましょう。
契約書の訂正方法とやってはいけない事や疑問も解説

契約書などの重要書類に署名捺印後、誤字脱字を見つけた場合は手書きで訂正が必要です。
ここでは訂正方法について、解説しますがあくまで基本的なものです。
業界や企業によって、訂正方法が違うこともあるので、その場合は社内ルールに従いましょう。
自社のルールがわからなければ、先輩や上司に確認してみてくださいね。
基本的な訂正方法!手順はたったの3つ!
訂正方法はポイントを押さえれば、難しい事はありません。
- 訂正したい文字に二重線を引く
- 訂正箇所の上に訂正内容「〇文字削除、〇文字追加」と記入
- 1もしくは2のどちらかに、文字と重なるように契約者全員の訂正印を押印
訂正印をどこに押すか法令で定められていませんが、二重線の上に押すのが基本です。
しかし、文字が読みにくくなるので、訂正内容の横でもよいことになっています。
イメージ図を参考に、訂正内容の記入例をみていきましょう。
<削除のみ>

削除したい文字に二重線を引き、「〇文字削除」と記入します。
<削除と文字を追加したとき>

訂正内容は「〇文字削除、〇文字追加」と記入します。追加の部分は「加入」や「加筆」と記入してもよいです。
<文字の追加のみ>

追加したい箇所に「V」を書き、その上に追加したい文字を記入します。
上にスペースない場合は「Λ」を書き、下に記入してもよいです。訂正内容は「〇文字追加」と記入します。
この訂正方法は契約書だけでなく、他の書類の訂正をする時にも使えます。
社内文書や雇用契約書、賃貸契約書、スマホの購入、旅行のツアー申し込みなどあなたの身近で使う書類や契約書はたくさんあります。
相手に提出する書類だから、丁寧に書かなければと思っているのに、なぜかそういうときに限って自分の名前や住所など書き間違えてしまいますよね。
そういうときもこの訂正方法を覚えていれば、慌てず訂正ができますよ。
契約書を訂正するときにやってはいけない事
契約書など重要な書類を訂正するときに、やってはいけない事は4つあります。
- 訂正したい箇所を塗りつぶす
- 鉛筆やシャープペン、消せるボールペンを使う
- 漢数字の一、二、三を使う
- 代理人が訂正する
契約書などの書類を訂正するときは、訂正箇所が見えるように二重線を引きます。塗りつぶす事はできません。

また、訂正するときは、消えないボールペンを使いましょう。
鉛筆やシャープペン、消せるボールペンはあとで書き換えができてしまうので使えません。
そして、漢数字の一、二、三も同じく書き換えができるので改ざん防止のため使用はやめましょう。
金額を訂正するときの数字は改ざんできないように、大字(だいじ)を使うのがよいとされています。
以下の表を参考にしてください。4から9は漢数字と同じです。
1 | 2 | 3 | 10 |
壱 | 弐 | 参 | 拾 |
訂正内容に文字数を記入しますが、最近では算用数字(1、2、3)が使われることも多くなっています。
最後に、契約書に訂正印を使って訂正できるのは、契約者だけです。代理の人が訂正をすることはできません。
代理人が訂正できる方法もあるので、後ほど解説します。
契約書の訂正について疑問を解消します!
よくある質問をまとめたので、あなたの疑問も解消していきましょう。

現在は赤字や黒字の使い分けは、社内のルールによって決定されることがほとんどです。
原則、黒色の二重線は削除する場合に使用しますが、朱書き(しゅがき)と言って、文字を目立たせるために赤色を使うこともあります。

句読点も訂正したときは、訂正内容に句読点も含んだ文字数を記入します。
「1,000」のような数字のカンマもカギカッコも文字数に含みますので、この場合7文字になります。
小数点も同様、文字数に含みます。記載されている文字は全て文字数として数えると思っておいてよいです。

契約内容が変更になる場合、訂正ではなく「覚書(おぼえがき)」を作成し双方署名捺印します。
署名捺印を契約者同士が行えば、合意されたことが明確になるので契約書と同じ効力を持ちます。
- 原契約書名
- 料金の変更
- 契約期間の変更
- 変更後の効力発生日
- 契約書と同じ契約者の署名捺印
どの契約書の覚書かわかるように、覚書には原契約書名を記載します。契約書番号もあれば併せて記載しましょう。
また覚書は原契約書と一緒に保管し、どの契約書に付属する覚書がわかるようにしておく必要があります。

訂正した箇所をまた訂正しても問題ありません。訂正方法は一度目に訂正した方法と同じです。
ただし、2度訂正することで、文書が読みにくくなるという場合は、残念ですが契約書を作り直します。
信用問題にもなるので、署名捺印後に契約書を作り直すのは、絶対に避けたいですよね。
その為にも、ミスがないようにしっかりと見直しましょう。
心配であれば、あなたの上司にもお願いしてダブルチェック、トリプルチェックをしてもらいましょう。
契約書の訂正印と捨印の違いをしっかり理解しよう!

契約書の訂正をするときに、訂正印と捨印の2種類があります。
訂正印は、訂正箇所に契約書全員の押印が必要です。
捨印は、相手に訂正をしてもらうので、あなたが意図しない箇所も訂正されてしまう危険性があります。
その為、契約書や重要な書類には捨印を押さないようにしましょう。
訂正印の役割は改ざんではないという証明
訂正印とは、文書の一部を訂正するときに押す印鑑のことです。
文書の訂正箇所に押印することによって、「本人が自ら訂正したもので、他人による改ざんではない。」と示すことができます。
そして全ての訂正箇所に、契約者全員の訂正印が必要になるので、双方合意の上、訂正されたことが証明できます。
訂正印は、契約書に押した印鑑と同じ印鑑を使うのが正式な方法です。
「訂正印」、「修正印」という名称で6mmサイズの小さな認印も販売されていますが、契約書などの重要書類に使用することはできません。

契約者の内どちらか一方だけ、訂正印を押しても意味がありません。契約者全員の訂正印が必要と覚えておきましょう。
捨印を押すと代理人が書類を訂正できる
捨印とは、あらかじめ文書の余白部分に印鑑を押しておき、誤りが見つかったときに、「訂正印」として利用できます。
捨印を押すと、代理人が書類を訂正できるようになります。
訂正方法は上で説明している方法と同じです。
訂正印の代わりに捨印の近くの空いているスペースに、訂正内容「〇行目〇文字削除、〇文字追加」と記入します。
捨印にすると訂正印を押すために、契約者本人がわざわざ出向かなくてよいというメリットもあります。
ただし、文書に誤りがあったとき相手が訂正できるので、どこをどのように訂正したかわからず、あなたに不利益になる危険性があります。
役所などの公的な信頼できる機関や、銀行、司法書士に提出する書類の場合は、捨印を押しても問題ないでしょう。
捨印を押すという事は、「あなたに訂正を一任します。」という証でもあります。
信頼のおける相手にだけ、捨印を押すようにしましょう。
また、代理人がどの程度の訂正をできるか気になるところだと思います。

明らかに、契約書の内容を変えるような訂正はできないということですね。
まとめ

- 契約書の訂正内容は、横書きなら上に記入するが、スペースがない場合は下→右→左の順に余白に記入してもよい
- 訂正箇所近くに訂正内容を記入するスペースがない場合、同じページの一番上もしくは一番下の余白に記入してもよい
- 訂正箇所の二重線上に訂正印を押すが、スペースがない場合省略できる
- 契約書の訂正方法は訂正箇所に二重線を引き、「〇文字削除、〇文字追加」と記入する
- 契約書の内容が変更になる場合は、訂正ではなく覚書を作成し双方署名捺印をする
- 訂正印は訂正箇所毎に契約者が押印するので、改ざんではないという証明になる
- 捨印は訂正を代理人ができるので、契約書には捨印は使わない方がよい
契約書の訂正について、法令で詳細が定められていないので、業界や会社のルールが優先されます。
この記事の内容を理解したあなたなら、契約書の訂正はもうできますね。
この記事があなたの役に立つことを願っています。