家庭菜園に取り組もうとした時に、頭を悩ませるポイントというのはいくつかあると思います。
野菜を植える場所を決めて、その後最初にぶつかる疑問…そう!土づくりですよね。
たまたまそこが家庭菜園に打ってつけの良質な土壌だったなんてラッキーはきっと、宝くじのような確率。
『元肥っていうのが 必要らしいけど、何がおすすめ?』
『うちの庭の土はどうやらとっても粘土質みたい。どうしたらいいの?籾殻っていうのはどういう風に使ったらいいの?』
そんなあなたの疑問を一挙解決!これさえ読めば土づくりがすぐに始められること間違いなし!
目次
家庭菜園の元肥におすすめ!配合済みの土なら簡単♪

まずは「元肥」という言葉自体、耳慣れない人も多いと思うのでそこからお伝えしましょう。
かく言うこの私も家庭菜園に関してはビギナーなので初耳でしたが、これを機に徹底的に調べてみました。
野菜に限らず、元気な植物を育てていくためには肥料が必要であることはご存じですよね。
肥料とひとくくりにして呼んでいますが、実は種類があるんですよ。
寒肥(かんぴ・かんごえ)元肥の一種。植物が休眠中の時期に、また種蒔きを行う頃に効果が出てくるように施しておく肥料のこと
追肥(ついひ・おいごえ)植物の生育過程に合わせて必要な栄養を補うために追加で与える肥料のこと
お礼肥(おれいごえ)追肥の一種。実を実らせた後の、エネルギーを使い果たしたところへ栄養補給のために与える肥料のこと
置き肥(おきひ・おきごえ)追肥の一種。肥料が不足してしまうことを見越して、前もって置いておく肥料のこと
調べていくにつれ、「次は天城越えか?」と思ってきてしまいましたが(笑)読み方も一筋縄ではいかぬ肥料の分類。
個人的には「お礼越え」…じゃなかった「お礼肥」が日本語の良さを感じさせてくれるネーミングで好きですね。
実や花をつけてくれたお礼にあげるだなんて、なんとも奥ゆかしくて素敵じゃないですか?
今後も家庭菜園を嗜んでいく中で耳にする名前でしょうから、どれも今のうちに覚えておいて損はないはず。
細かく分けるとこれだけ呼び名があるものの、大きく分けるとつまりは元肥か追肥のいずれかです。
元肥というのは、野菜の生長を止めない、つまりは死なせてしまわないための肥料です。
人間で言えば衣食住に値する、これがなければ生きてはいけないもの。
対して追肥は、生長を促進させるために与えるものと考えておくとよいでしょう。
ここでは、そのうち土づくりの過程で必要となる元肥について一緒にお勉強していきましょう♪
おすすめは、育てたい野菜によっても変わってきますのでぜひ参考にしてください。
元肥は必ず使わなければならないもの?

答えはYESです。正確に言えば、「おいしく元気な野菜をつくりたいのならばマスト」です。
元肥を施さない土で野菜を育てようとしても、きっとなかなかうまくはいかないでしょう。
家庭菜園というのは、ほとんどの方が最初は自宅の庭で始めるはずです。
その土には、果たして植物に必要な栄養分が十分に含まれていると言えるでしょうか?
もちろん、目で見ているだけではそれは全くわかりません。
けれど、植物にとって人の手が入っていない野原や山林など自然界の土と、人間が手を加えた土では大きな差があるのです。
皆さん、自然に生えている草花などを見て、「綺麗だなぁ」と感動した経験はありますよね。
誰かに育てられているわけではなさそうな場所で、なぜ美しい花が咲いたり、おいしい実がなったりすると思いますか?
あれは、ミクロの世界で起きている自然のサイクルがそうさせているんですよ!
肥料なんて誰かから与えてもらわなくても、死んでしまった動物や昆虫、落ち葉などが土に還っていく過程で養分となるのです。
それを根から吸収することで、植物たちは自分の力で育っていくということですね。
まさに生命の環というか神秘というか。死んだものたちは死んでなお、生けるもののために働いてくれるというわけです。
でも人間が住む家の庭では、死んだ動物を土に還るまで放っておくことも、落ち葉を積もり放題にしておくこともありませんね(笑)
きれいな庭で植物を育てていくためには、それらの代わりになるものが必要だということです。
野菜の生育に必要な養分はほとんどが土に含まれている

『そうは言っても、土に最初から混ぜなくてもいいんじゃない?あとから肥料をあげればいいような気もする』
そんな風に思っていませんか?元肥を失敗してしまうと、最初でつまずいてしまいますよ!
なので、まずは今後の家庭菜園ライフを楽しむ上で、決しておろそかにできない過程であることをしっかりと心に刻んでください。
土は、植物が育つ土台。お家なのです。人間だって、そのお家がしっかりしていないと、健康な心も体も育たないでしょう?
野菜が健康に育つために必要とする養分は、大きく分けて三種類あります。
リン酸(P)開花を促したり、実の生育を良くしたりする作用があることから「実肥(みごえ)」と呼ばれる
カリウム(K)根を丈夫に育てる作用があるほか、害虫や寒暖への抵抗性を増す作用があることから「根肥(ねごえ)」と呼ばれる
さあ、上に挙げた三大養分を見て、何か気付かれたことはありませんか?
ピンときたあなたはとても優秀!すでに家庭菜園マスターとしての素質を備えているかもしれません!
そうです。「葉」「根」「実」野菜というのは、このどれかに必ず当てはまるわけですよね?
つまり、どんな野菜を育てるとしても決して欠かせないものだということです。
これらは残念ながら、土に十分に含まれてはおらず、野菜が育っていく過程ですぐに足りなくなってしまうのです。
だから元肥の出番というわけですね。肥料を購入するとき、これらはパッケージに必ず表記されていますので注目してみてください。
元肥配合済の土は買うことができる

『窒素?リン?カリウム?化学の授業で大昔に聞いたけど…?何?実験?家庭菜園ってそんなに大変なの⁉』
あなたの不安、よくわかります。お庭に野菜を植えたかっただけなのに、大昔に授業で見た元素記号が突如現れて驚きますよね(笑)
私も、化学の授業は苦手でした。これを自分で配合せよなんて言われたらすぐに「野菜は買うことにします!」って逃げ出しちゃいます。
中学生くらいまでの理科は、面白がって参加していた気がします。なんで高校であんなに突然わけわからなくなっちゃうんでしょう…。
でも、ご安心ください!家庭菜園用に市販されている土にはご親切に最初からバランスを考えて配合されています!
プランターでの家庭菜園を考えている方は、ホームセンターなどで「元肥配合」と謳われている土を買ってくれば万事OK。
難しいことはひとつもございません。これなら明日にでも始められますね!
家庭菜園におすすめの元肥、自分で用意するなら?

元肥成分が配合されている土を買う以外にも、もちろん方法はあります。
では元肥についてもう少し詳しく学んでいきましょう。
肥料にも種類があることは先にお伝えした通りですが、与えるタイミングの他にそれぞれに求められる効果というものがあるのです。
追肥:与えてすぐに効果が見られる速効性のあるものでなければならない。主に液体肥料や水溶性の固形肥料が用いられる。持続期間は短いため頻繁に与える必要がある
肥料というのはそれぞれに役割を持ち、互いに補い合いながら作用していくものです。
野菜にとって、適した環境をつくるためにはそれらを熟知して、適材適所に活用していかなければならないということ。
お勉強することがありすぎて、気が重くなってきましたか?
大丈夫!一度しっかりと基本を頭に叩き込んでさえしまえば、これから先の家庭菜園ライフは明るいです。もう少し頑張ってみましょう♪
元肥には有機肥料

さて、またここで肥料の分類の話になるのですが、先ほどお伝えした分類は与え方や目的に沿った呼び方でしたね。
物質的な肥料の分類としては、「有機肥料」と「化学肥料」とがあります。
名前から想像ができると思いますが、有機肥料は生物由来のもの。化学肥料は鉱物など無機物を原料に人工的に生成された肥料です。
そして、元肥に使うのはこのうち有機肥料です。
元肥が必要な理由は「本来は自然のサイクルでつくられるはずの養分を補うため」だと先ほどお伝えしましたね。
そこが理解できていれば、理由はもうお分かりのはず!
土壌改良や、不足している養分を補充することを目的に与えられるのが元肥ですから、土の中で分解される物質でなければならないということです。
微生物たちの働きによって、野菜に必要で、なおかつ野菜が吸収することのできる物質に生まれ変わってくれるのが有機肥料。
この分解作業は、一瞬でというわけにはいきません。だから即効性はないということですね。
そして、おすすめの有機物をこちらにまとめてみました。

魚粉:魚を煮た後に油分と水分を取り除き、乾燥させて粉砕したもの。窒素とリン酸が豊富。追肥に使われることもある
骨紛:豚、鶏などの骨を乾燥させ粉砕したもの。リン酸を多く含む
鶏糞:鶏の糞を乾燥させて発酵させたもの。窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれる。また、マグネシウムやカルシウムなども多く含む
米ぬか:玄米を精米する際に出るもの。三大養分を多く含むほか、糖分やビタミン、ミネラルなども豊富なのが特徴
草木灰:落ち葉などを燃やした後の灰。カリウムが豊富で、石灰とリン酸も含んでいるため酸性の土壌を中和する目的で使われることもある。追肥としても適している
油かす、骨粉、魚粉…なんだかラーメンが食べたくなってきたのは私だけでしょうか(笑)
これらは手に入れるのが難しそうですが、なんとネット通販で買うことができます!
鶏糞なら、養鶏場が近くにあると手に入りやすそうですね。
日本有数の米どころでもある私の田舎には、コンビニよりも多い軒数存在している、コイン精米所。米ぬかテイクアウトし放題。
…というわけで、私が家庭菜園に取り組むとしたら迷うことなく米ぬかを元肥に選びます!
そう言えば、私の地元では秋から冬にかけて作物を収穫し終わった後の畑で、焚火をしている光景もよく見かけます。
あれは今思えばきっと草木灰を作っていたんですね!焼き芋いいなぁ~なんて眺めておりました(笑)
これならお金をかけることもなく元肥が用意できますね。
もちろん、育てたい野菜に合わせてどんな成分が多く含まれている元肥を使うべきかを決めることは必要です。
でもこんな風に、入手ルートや費用のことも考えて何を使うか決めるというのもひとつの手ですよね!
手に入りやすそうな元肥がある方は、そこからつくる野菜を考えてみてもいいかもしれません。
家庭菜園が粘土質なのはなぜ?土のことを知ろう

元肥の大事さについては嫌というほどおわかりいただけたところで、もうひとつ大事なことをお伝えしておきます。
それは、どんなにいい肥料をあげても、元の土質が野菜づくりに適していなければ意味がないということ!
上で挙げたものは全て、土に足りていない栄養分を補充するための「肥料」です。
一方、土自体の性質を家庭菜園向きのものに変えていくための「堆肥(たいひ)」というものがあります。
併せて使うことが大切。これさえ解れば野菜たちの快適なお家づくりマスターになれます!
家庭菜園に適した土質とは?

人間が住みやすいお家を選ぶときの条件は人それぞれ。ですが、野菜にとってのいいお家の条件というのは、大まかには決まっています。
それは「保水性・排水性(水はけ)・通気性」の全てを兼ね備えていること。
保水性と水はけという、一見相反している条件を同時に叶えるのは難しそうに感じてしまいますよね。
でも、土の状態をしっかりと把握し、対策の理解さえできていれば誰にでもできます!
そのためにはまず、今の土の状態を良く見ること。土をひとつかみ手に取って、ぎゅっと握って見てください。
カチカチではないが崩れるほどでもない固さでふんわりと固まり、指で押すとほろっと崩れるようなら良い土です。
全く固まらなければ、荒い砂っぽい土質。簡単には崩れないほど固まるようなら、粘土質で通気性の悪い土という判断ができます。
砂っぽいなら水持ちを良くするための改良が必要ですし、粘土質なら通気性をアップさせる必要があります。
土の構造を理解しよう

では、砂っぽいのと粘土質なのと、具体的には何が違うのでしょう?
実は土は「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」と言って、小さなお団子状の塊が集まった構造になっています。
これは、地中の微生物の排泄物や粘液などの作用で土同士がくっつくことで出来上がっているのです。
だから、存在している微生物の数等によって土質が変わるんですね。
団粒の中では水分が保持されます。また、団粒と団粒の間には程よく隙間が空いていますので排水性と通気性が良くなるのです。
触るとふかふかとしている感触で、見た目には黒っぽい色をしているのが良い土です。
家庭菜園に籾殻が使える!堆肥を学ぼう
土質の改善も要するに「足りない物を補う」考え方で進めていきます。ここで使われるのが「堆肥」です。
堆肥には植物性と動物性のものがあり、それぞれ性質が違います。
動物性堆肥:土壌改良にも使われるが、生長を促す効果も大きく、肥料としても有効。鶏ふん、牛ふん、馬ふん、豚ふんなど
ここでおすすめしたいのが、籾殻です。なぜなら、砂質にも粘土質にも嬉しい作用が期待できるから!
籾殻は米の外側の皮のことですが、生のままでも土壌改良効果があります。
これは、固い皮が土に混ざることによって隙間ができるため。
水はけや通気性が良くなるので、粘土質の改善に一役買ってくれるということ。
『だったら、砂質の改善には向かないんじゃない?』とお思いでしょうか。
いえいえ、実はこの籾殻、一度水を吸い込んでしまえばそれを保持する力が強いのです!
また、米ぬかや鶏糞などと混ぜることで、肥料としても利用できるので汎用性が高いのが籾殻の特徴!
米農家が近くにあったりする環境だと、手に入りやすいのも魅力ですね。
肥料としても使いたい時にも、手作りがしやすいという家庭菜園ビギナーにはおすすめの逸品です。
それぞれの堆肥の特徴をしっかりと理解して、あなたの家庭菜園の土質にピッタリなものを選びましょう。
まとめ

- 肥料には種蒔き前に土に施す元肥と、発芽後に与える追肥がある
- 土に不足している栄養を補うのが元肥の目的
- 家庭菜園づくりには必須なのが元肥!
- 窒素、リン酸、カリウムがバランスよく含まれていることが重要
- 元肥を含む土は購入することができる
- 元肥には自然由来の有機肥料が使われる
- 入手しやすく、費用がかかりすぎないものを土質に合わせて選ぼう
- 土壌の改善のために与えるものが堆肥である
- 保水性、排水性、通気性を備えた土が野菜づくりのキモ
- まずは土を見て、触って、今の土質を知ろう
- 保水性を保ちながら、通気性や排水性のアップ効果も狙える籾殻。肥料として使われることも
- 堆肥と元肥、それぞれの特徴をよく理解し、土に必要なものを与えてあげよう
なんだか、理科の実験のような、研究のような、そんな奥深さを感じる土づくり。
凝り症の人は瞬く間にハマってしまうかもしれませんね。
試行錯誤するのも家庭菜園の楽しみのひとつ。頑張った分だけ、おいしい野菜ができた時の感動は大きいはずです!
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