私は学生時代にソフトボールをやっていたのですが、特にバットのデメリットやメリットを考えず、なんとなく気に入ったものを使っていました。
ですがバットには種類があり、バッティングのスタイルによってデメリットやメリットがあるようです。
多くのバットはグリップが丸い形をしていますが、jグリップは人間工学を取り入れた斧の柄のような形をしているバットです。
この特殊な形のグリップは、しっかり握ることができるためバットの操作性が向上したりケガをする可能性を低くしたりできます。
しかし握り方が限定されたり、ボールを打つ位置が固定されたりすることで使う選手が限られるという一面ももっています。
この記事ではjグリップのデメリットやメリット、jグリップが合わない場合におすすめしたいバットについて解説していきます。
目次
jグリップのデメリットは使っている選手の少なさ

jグリップとは日本で歴史あるスポーツメーカーである美津和タイガーが製造・販売しているバットのグリップのことです。
美津和タイガーのバットは、かつて阪神の主力選手も使っていました。
しかし現在はミズノ、SSK、ゼット、ローリングスなど他の主要メーカーに比べると、使っている選手は少なくなっています。
この使っている人の少なさが、jグリップのデメリットなんです。
使っている人が少ないということがデメリットとは、いったいどういうことでしょうか。
野球を小さい頃からはじめて大きくなっても続ける場合、中学や高校ではjグリップを使っているところがありません。
必然的に他のグリップのバットを使うことになります。
新しいグリップのバットに慣れるのは時間がかかるものです。
いずれ中学や高校野球に進んでいきたいと考えている場合、jグリップは避けた方が無難かもしれません。
またjグリップに慣れるということは、jグリップをずっと使い続けなければいけないということでもあります。
そのため使っている選手が少ない=販売されている数が少ないことはデメリットとなります。
バットは消耗品であり、使っている選手の技術や体格の変化に合わせて買い替える必要があります。
美津和タイガーのバットは取扱店が大手のバットに比べて少ないので、買い替えがしづらいのです。
店頭に並んでるjグリップのバットは少ないかもしれませんが、もちろん取り寄せることはできます。
どうしてもjグリップのバットを使いたい場合は、店員さんにお願いしてみるといいかもしれませんね。
jグリップのデメリットとメリットを性能面から説明

jグリップは斧の柄の形状をヒントに、人間工学に基づいて作られた、だ円構造のグリップのことを指します。
人が正しく効率的に動けるように周囲の人的・物的環境を整えて事故やミスを限りなく少なくするための研究も含む。
他の多くのグリップは丸い形をしていますが、jグリップは名前のとおりjの形をしているグリップです。
2015年度グッドデザイン賞、グッドデザイン・ものづくり賞を受賞した特殊な形をしています。
jグリップは特殊な形のグリップなので、性能面において丸いグリップにはないデメリットやメリットがあります。
バットの合う合わないは個人差があるためjグリップのデメリットやメリットが当てはまらないこともあるでしょう。
ソフトボールをやっていた時を思い出すと、私はjグリップのデメリットをばっちり感じてしまうタイプでした。
jグリップのメリットとデメリットは以下のとおりです。
- パームグリップだと違和感がある
- 軽すぎると感じることもある
- 回し打ちできない
- コントロール性UP
- スピードUP
- パワーUP
- けがが軽減できる
- ミート幅を拡大するスイングができる
この記事ではjグリップのデメリットとメリットについて、詳しく解説していきます。
性能面から見たjグリップのデメリットは3点
特殊な形をしているjグリップのデメリットは3点あります。
デメリットと書いていますが、悪い点というよりは人によっては合わないとイメージしてもらった方がいいでしょう。
〈jグリップのデメリット1:パームグリップの人は違和感がある〉
jグリップはパームグリップだと違和感を覚えることがあります。
パームグリップとは、手のひらで打つようなグリップの持ち方のことで、力で引っ張る打ち方をするパワーヒッターに向いている持ち方です。
jグリップはあえてフィンガーグリップという握り方で、バットのグリップを握らせるような形状になっています。
フィンガーグリップは指先でバットのグリップを握るような持ち方で、メジャーリーグの記録的な名打者が使っていることの多い持ち方です。
パームグリップとフィンガーグリップはボールがバットに当たる瞬間に押し手(右バッターは右手、左バッターは左手)の、どの部分で衝撃を受け止めるかに違いがあります。
パームグリップは手のひらでガツンと当てて押し返すのに対し、フィンガーグリップは人差し指の付け根にあたりで受け止めます。
この違いによって、バットの扱い方に次のような違いがでます。
〈パームグリップ〉
- ボールに押し負けしなくなる
- 遠心力をうまく使えず、バットのコントロールがしづらい
〈フィンガーグリップ〉
- バットのコントロールがしやすい
- ミート力(ボールをバットの芯でとらえる力)が向上する
- 手首が使いやすくなり、バットを振るスピードが速くなる
- 速い球の場合、ボールが当たる瞬間に押し負けてしまう
パームグリップとフィンガーグリップのどちらが良いということはありません。
しっかりバットにボールを当てて飛ばすためには、身体に余計な力が入らず手首を柔軟にするようなバットの握り方が重要です。
ですがパームグリップでバットのグリップを握っていると、上記のような感覚がわかりにくくなります。
反対にフィンガーグリップで握っていれば、身体に余計な力を入れず手首を柔軟にするような身体の動かし方を身につけることができます。
そのため、jグリップではフィンガーグリップで握らせるような形状になっている、というわけですね。
従来の丸いグリップであればパームグリップもフィンガーグリップも違和感なく持つことができます。
しかしjグリップはだ円形のグリップなので、手のひら全体で持つようなパームグリップでは多少の持ちにくさを感じることがあるでしょう。
〈jグリップのデメリット2:バットが軽すぎると感じる場合がある〉

jグリップのバットは軽量で反発がいいため、よくボールが飛ぶというのが売りです。
しかしバットの重さと遠心力を利用してフルスイングするタイプの選手には、バットが軽すぎて手首の返りがはやくなってしまうという点がデメリットとなるのです。
私はソフトボールをやっていた頃、4番バッターだったのですが、ある程度重さのあるバットでないと安定して振ることができませんでした。
軽すぎるバットではボールがかすってしまい、ヒットにならず悔しい思いをしました。
手首の返りがはやくなると、その分バット自体もはやく返ってしまい、ボールを外側から巻き込むように打つことになります。
ボールを外側から巻き込んで打つと、サードゴロやショートゴロなどになってしまい、アウトになる確率が高くなるでしょう。
また手首の返りがはやいことで、ボールの下をこするような当たり方をしてしまい、簡単に捕られてしまうようなフライ(高くあがった打球のこと)になってしまいます。
3割打者という言葉があるように、バッターは10回打席に立ったうちの3球打てれば一流といわれる世界です。
バットが軽く手首が速く返ってしまうことで、少しでも打てる確率が減るというのはバッターにとっては大きなデメリットであるといえます。
しかしバッティングフォームは千差万別。個人差が大きいものです。
バットの重さを利用せず、バットの操作性を高めるフォームで打つ選手にはjグリップが合うかもしれません。
〈jグリップのデメリット3:回し打ちができない〉
金属バットはボールの当たる場所が1点に集中すると、金属疲労がおきて劣化しやすくなります。
従来の丸いグリップの場合、バットを回しながらボールが当たる位置を変えることで、1点に力が集中することを避けることができます。
そのため金属疲労を起こさず、バットをなるべく長く使うことができます。
しかしjグリップはグリップの形状から、ボールの当たる点は1点に固定され、位置を変えることができません。
そのため丸いグリップに加えてjグリップは耐久性が劣るといわれています。
バットは消耗品と上記でも書きましたが、決して安いものではないのですし、厳選して選んだバットはできれば長く使いたいですよね。
jグリップのバットを長持ちさせたい場合は、同じ種類のバットを複数本用意して、同じバットを連続して使わないようにするなどの工夫が必要かもしれません。
性能面から見たjグリップのメリットは5点
jグリップは特殊な形をしていることで生じるデメリットもありますが、その形だからこそのメリットもあります。
jグリップのメリットを5点にまとめて解説していきます。
〈jグリップのメリット1:バットのコントロール性がUPする〉
人間工学に基づいてデザインされたjグリップはだ円型をしていて、従来の丸いグリップに比べて手の角度に合うように設計されています。
手のひらと接着する面積を大きくし、しっかりとグリップを握ることで、バットと手の一体感を高めることが可能になりました。
そのためバットのコントロール性が上がり、自分が思ったようにバットを振ることができるんです。
自分が思ったようにバットを振ることで、バッターは直球や変化球などの球種に対応することができ、ヒットを打てるというわけですね。
〈jグリップのメリット2:バットの振った時のスピードがUPする〉
jグリップはバットのバランスを身体で感じることができ、手首をスムーズに返すことが可能です。
手首の返しがスムーズにできることで、バットを大きく振りぬくことができるようになります。
これはjグリップの形状から手のひらとの接着面積が広くなり、安定したリストワークを得られバットの振りがスムーズになるからですね。
またjグリップのように角度のあるグリップは、握るだけで自然と脇が締まり、適切なバッティングフォームを作り出すことができます。
身体をうまく使えずにおこなっていたバッティングに比べ、適切なバッティングフォームでバットを振ることができると、スムーズかつ振りぬくスピードも上がるでしょう。
〈jグリップのメリット3:ボールを打つパワーがUPする〉
jグリップはだ円形をしているため、しっかりバットを握ることで、ボールに引っ張られることなくバットを振ることができます。
ピッチャーの投げたボールの勢いに負けないということですね。
ボールに引っ張られる力が少なくなれば、バットを振った時の遠心力や当たった時の回転力をボールにしっかりと送ることができるので、ボールを飛ばす力が上がります。
力強くボールを打ち返すことができれば、ボールのスピードも上がり、守っている選手にはとりづらいボールになります。
〈jグリップのメリット4:ケガをするリスクが下げられる〉
jグリップはグリップエンドの内側に突起がないので、ボールがバットに当たった時の衝撃を分散でき、手に負担がかかりにくくなっています。
従来の丸いグリップはバットを振りぬくと、手のひらの小指側の丘部分にグリップエンドが当たってしまいます。
くり返しバットを振ることで、何度も同じ場所にグリップエンドが当たり、神経や有鈎骨(ゆうこうこつ)という骨を骨折するリスクがあります。
左右の手のひらの小指側に1つずつ存在する。
手のひら側に突起が出っ張っているのが特徴。
手のひらには多くの神経がありますが、その中でも尺骨神経の周辺にダメージを受けた場合、ひじにつながる神経へ負担となります。
最悪の場合、野球人生が絶たれてしまうこともあるのです。
jグリップを使っていれば必ず防げるか、といわれると絶対に手のひらの神経や有鈎骨を傷つけることがないとはいえません。
ですがケガをする可能性を低くすることはできます。
スポーツとケガは切っても切れない関係といえます。少しでもケガをする可能性が減らせるというのは安心感につながるかもしれませんね。
〈jグリップのメリット5:ボールをバットの芯でとらえられる幅が広がる〉
jグリップはグリップをしっかり握ることができるため、バットと身体に一体感があり、あなたが理想とするバットの振り方ができます。
あなたに合ったフォームでバットを振ることで、バットの先が下がらず地面とバットの角度が水平になります。
地面とバットの角度が水平になることで、ボールをバットの芯でとらえることができる幅が広がります。
バットの芯でボールをとらえることができれば、力強い打球を返すことができ、ヒットにもつながりやすいでしょう。
jグリップのデメリットは美津和タイガー別商品で解消

jグリップを販売している美津和タイガーの金属バットは、ほとんどがjグリップのバットです。
あなたがjグリップのデメリットを感じているのであれば、美津和タイガーのjグリップ以外のバットを使うのが良いでしょう。
しかし先ほども述べたように、美津和タイガーはjグリップ以外のバットは少なく、選べるバットの種類が大きく狭まります。
自分に本当に合うバットを選ぶためには、多くのバットを実際に振って試してみる必要があると上記でも書きました。
選べるバットの種類が少ないことは、バットを選ぶ上でデメリットとなります。
そのため、あなたがjグリップのデメリットを感じているなら、美津和タイガー以外のメーカーのバットを検討するのもおすすめですよ。
美津和タイガーのバットならPENNANTKINGがおすすめ
美津和タイガーのなかでjグリップ以外のバットを使うなら「PENNANTKING」がおすすめです。
jグリップでなく丸いグリップなので、パームグリップでも違和感がありません。
打つ面が固定されていないので、回し打ちも可能です。
軽すぎるというデメリットに対しても、バット自体の重さがjグリップは500~760gくらいのものが多いですが、PENNANTKINGは900g以上と重みがあります。
ですが手元に重心バランスをおくことで、900gという重量を感じさせずにバットを振りぬくことができるバットです。
PENNANTKINGの特徴はトランポリン効果を実現したバットという点です。
ボールがバットに当たると、一度打球が当たった場所がへこみます。
へこんだ場所が復元する力でボールが弾き返されます。
人がトランポリンの上で跳ねる動きに似ているから、トランポリン効果と呼ばれている。
PENNANTKINGは打球が当たる両端と、打球が当たる部分の素材の厚みを変えることで、トランポリン効果を得ることができたバットです。
jグリップのデメリットを感じない他メーカーのバット
jグリップのデメリットを感じないバットを使いたいなら、他メーカーのバットを探してみるのも良いでしょう。
jグリップでないグリップであれば、パームグリップで握ることの違和感と回し打ちできないというデメリットは解消されます。
残されたデメリットは軽すぎるという点だけです。
ここでは従来の丸いグリップで、ある程度重さのあるバットを紹介していきます。
〈ミズノのビクトリーステージVコング02/2TH204201〉
ミドルバランスでロングヒットを狙いたい中距離バッターにぴったりのバットです。
- トップバランス…重心が手元から遠いバットでコントロールはしづらいが威力は大きい
- ミドルバランス…重心がトップバランスとカウンターバランスの中心にあるバット
- カウンターバランス…重心が手元に近いバットでコントロールしやすいが威力は小さい
またバットの先端を絞ることで、バットが振りやすくなっています。
素材には硬くて強度の高い樹脂を使っていて、長く愛用できる耐久性の高さを備えているので、タフな練習にも一緒に耐えてくれます。
バットの表面には特殊研磨加工が施されていて、ボールを打った時にスピンがかかり、力強い打球を生み出すことができますよ。
〈SSKの中学硬式スカイビート31K/WF-LJH〉
先端部分に曲げ加工を施したカーリングヘッドが、ボールを打った時に力が分散するのを軽減します。
ボールがバットに当たった時の力が、ボールにダイレクトに伝わるため、力強い一打を放つことができます。
素材には超々ジュラルミンが使われていて、重く硬いという性質があり、高い耐久性が備わっています。
長く使う相棒としてはぴったりのバットですね。
〈ウィルソンのディマリニ・ヴ―ドゥTS20/H&H/中学硬式用〉
ボールが当たる部分にSSKの中学硬式スカイビート31Kと同じ、超々ジェラルミンを使っています。
強度だけでなく打った感じが心地よく、振りぬきやすさに満足しているという口コミがあるバットです。
ハーフ&ハーフテクノロジーが、バットのしなりを生み出し、力強い打球を生み出すことができます。
しなりを生みボールがバットに当たるのに合わせて、バットの先端部が走り、大きな飛距離を生み出すことができる。
ホームランやロングヒットを期待できるトップバランスのバットで、ボールの飛距離を伸ばしたいバッターにおすすめですよ。
これなら打てそうというバットを選ぶのが大事
jグリップが合うか合わないか、デメリットやメリットを知っても、どういう選び方をすればいいのか迷ってしまいますよね。
バットの選び方に目安はありますが、体格や骨格、手の大きさ、バッティング技術などは人それぞれです。
あなたに本当に合う使いやすいバットは、実際に振ってみないとわかりません。
あなたが「これなら打てそう!」という感覚が大事なんです。
絶対的な自信がなくても、振りやすさやグリップを握った時のフィット感といった感覚に任せて問題ありません。
- 振りやすさ
- 握りやすさ
- 身体と一体化しているか
振ってみたときに上記の点を意識して、試し振りしてみると良いでしょう。
自分がどんなタイプのバッターかということは考えず、時間が許す限り店頭にあるすべてのメーカーとすべてのバットを振ってみましょう。
妥協せずに探すことで、自分の相棒となる1本がきっと見つかるはずです。
バットが違うだけで、打つ時のフォームはガラッと変わってしまいます。
ボールを打つ時のフォームが変わるということは、今までやってきたことを崩すことにつながりかねません。
バッティングは、些細な違いが結果を大きく変えるものです。フォームの変化はバッティング自体も変えます。
新しいバットが身体の一部のようになじむまでには、それなりの練習と時間が必要です。
むやみやたらにバットを変えるのではなく、たくさん試し振りした中で「これなら打てそう!」と感じたバットを使うことがバットを選ぶ上で大切になります。
まとめ

- jグリップは使っている選手の少なさがデメリット
- jグリップの性能面におけるデメリットは回し打ちができないことなど3点ある
- jグリップの性能面におけるメリットはケガをする軽減など5点ある
- jグリップのデメリットを感じないバットを選ぶなら美津和タイガー以外のメーカーも検討しよう
- 自分に合ったバットを選ぶには「これなら打てそう!」という感覚が大事
特殊な形をしたjグリップは、デメリットもありますがメリットも多くあるバットです。
実際にjグリップのバットを振ってみて、jグリップが合うと感じるなら、ぜひ使ってみてくださいね。
コメントを残す