排水処理装置を導入したいけれど、種類や仕組みが分からないとお困りではありませんか?
工場などから出る排水に合わせた排水処理の方法を比較することで、最適な設備を見つけられます。
モノづくりによって工場などから排出される水には、さまざまな汚れが含まれていて、水質汚濁(おだく)防止法による排水基準値が定められていますよ。
排水基準値の数値を守れないと、操業停止などの行政処分を受けてしまい企業の経営に大きなダメージを与える可能性があります。
適切な排水処理を行うことで環境汚染を防ぎ、企業のイメージアップにもつながりますよ。
本記事では、排水処理装置の方法や仕組みについてそれぞれの特徴を比較しながら分かりやすく解説します。
最適な排水処理の方法や設備を比較したい場合のお役に立てばと思います。
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目次
排水処理の方法と装置の主な2種類をそれぞれ比較

排水処理には大きく分けると2種類の方法と装置があります。
排水量や処理したい排水の内容によって方法と装置の組み合わせを比較し最適な排水処理設備を導入することが大切ですよ。
排水処理方法 | ・分離方法 ・分解方法 |
排水処理装置 | ・連続式排水処理装置 ・バッチ式排水処理装置 |
排水処理とは、工場などから排出される水を処理して、環境に対する影響を低いものにすることを言います。
排水処理技術は、1950年代に水俣病などさまざまな公害病が発生し、社会問題となったことがきっかけとなり、1970年代になって法規制されたことから発展しました。
人体に有害な化学物質が含まれた工業排水に適切な排水処理を行わず、そのまま河川(かせん)や海に流すことは公害病の原因になってしまいます。
排水処理の対象は水に溶ける廃棄物(はいきぶつ)全般で、これらは汚濁(おだく)物質と呼ばれます。
汚濁物質は大きく分けると「無機物」と「有機物」の2つがありますよ。
無機物 | 水銀、ヒ素、カドミウムなどの重金属 |
有機物 | 汚泥、生ゴミ、食品の搾りかす、食用油、工業用油、有機溶剤、ダイオキシン |
無機物のなかでも重金属は毒性が高く、確実な排水処理をしないと人体に重大な健康被害をもたらしてしまいます。
有機物に分類される主な汚濁物質は、赤潮の原因になったり腐敗したりするものも多く、衛生上の観点からも適切な処理が必要ですね。
人体に直接的な毒性を持つ有機溶剤やダイオキシンなども有機物に含まれるので、厳重な排水処理が不可欠となります。
排水処理方法2つを汚濁物質ごとに比較
排水処理の主な方法は、分離方法と分解方法の2つがあります。
分離方法 | 分解方法 | |
---|---|---|
方法 | ・薬品を使った化学反応分離 ・フィルターなどを使った物理的分離 | 細菌や微生物による分解 |
効果 | 無機物や粒子が大きい汚濁物質に有効 | 有機物の処理に有効 |
分離とは汚濁物質と水とを分けることで、化学反応を利用して分離する方法と物理的に分離する方法の2つが代表的ですよ。
<分離方法 化学反応分離(沈降(ちんこう)分離)>
化学反応を利用して汚濁物質を沈ませて分離するので、沈降分離と呼ばれています。
化学反応を利用するタイプは、汚濁物質の成分と反応する薬品を排水中に投入し、汚濁物質を化合物化します。
化合物化した汚濁物質は比重が変化し容器の底に沈むので、この比重の違いを利用して汚濁物質と水の分離を行いますよ。
<分離方法 物理的分離>
物理的分離はフィルターを使うもので、汚濁物質の粒子が大きい場合に有効な分離方法です。
RO膜(逆浸透膜(ぎゃくしんとうまく))や活性炭により微粒子をこし取ることで分離、除去する方法です。
<分解方法>
分解方法は、食品工場や農場などから排出される有機物を含んだ排水を処理する際に有効な方法です。
分解は、汚濁物質を細菌やバクテリア、プランクトンなどの微生物による分解によって無害化する方法で、主に有機物の排水処理に用いられますよ。
活性汚泥(かっせいおでい)という微生物を含む汚泥に排水を通して微生物に有機物を分解してもらうことで、有害な成分を取り除きます。
活性汚泥とは、微生物の集合体が数mm程度の綿くず状のふわふわした泥のようなものです。
バクテリアと多くの種類の微生物の集合体である活性汚泥に排水を混ぜ空気を吹き込み、かき混ぜると汚れを食べた微生物が増え、水をきれいにしてくれますよ。
活性汚泥は、かき混ぜるのをやめると底に沈むので、最終沈殿池(ちんでんち)では活性汚泥と上澄み(うわずみ)液を分離することができます。
排水処理装置2つを排水する量で比較
排水処理装置は、連続式排水処理装置とバッチ式排水処理装置の2つがあります。
連続式排水処理装置 | バッチ式排水処理装置 | |
---|---|---|
施設の規模 | 大規模施設向き | 小規模施設向き |
メリット | 1時間に1トンの処理が可能 処理方法や処理槽を組み合わせられる | 水質調整がしやすい 設備がコンパクト |
デメリット | 水質調整が難しい | 処理量が少ない |
<連続式排水処理装置>
連続式排水処理装置は、工場や施設の排水状況に合わせて処理方法や処理槽(しょりそう)を組み合わせることが可能な装置なので大規模な施設に適しています。
水槽に一定の割合で連続的に水が流れ込み、水の量に合わせて必要な薬品を注入していきます。
水も薬品も連続で流入するので、途中で水質のバランスが崩れた場合のタイミングがつかみにくく、調整が難しいです。
1時間に1トンもの排水処理が可能なので、1日の排水量が数十トンから数千トンにもおよぶ排水の処理ができますよ。
複数の処理方法や水槽(すいそう)を組み合わせての排水処理が必要な、大きな工場などで使われるのが一般的ですね。
<バッチ式排水処理装置>
バッチ式排水処理装置は、1つの処理槽に一定量の汚水(おすい)を溜めて処理をするコンパクトな排水処理装置なので、排水処理量が少ない施設に適しています。
1つの水槽に一定量の水を溜め、そこに必要なだけの薬品を入れて処理をします。
処理量は設備の規模によって異なるので、1日の排水量に合わせて装置を稼働(かどう)させられますよ。
1回の処理量が1トンなら、1日3回の稼働で3トンの排水処理ができるということですね。
水質が変わりやすい連続式排水処理装置と違い、バッチ式は1回ずつ水質が確認できるので調整がしやすいです。
水の濃度にムラが出やすい小規模施設では、バッチ式が合っているようですよ。
排水処理では方法や装置に関わらず、処理後に必ず汚泥が発生します。
次の章ではその汚泥の処理や費用について解説します。
排水処理方法により発生する汚泥の処理や費用について

排水処理では、方法や装置に関わらず必ず発生する汚泥(おでい)を適切に処理して、処分費用をおさえることが排水処理における重要なポイントです。
実際の排水処理は、処理対象となる排水の成分を見極めて、分離と分解の2つの方法を組み合わせて処理が行われますよ。
排水処理を行うと方法や装置に関わらず必ず汚泥が発生します。
汚泥はスラリーとも呼ばれ固形分と水分が混ざり合った残りカスのようなものですね。
分離方法などで排出される物理処理汚泥と、分解方法などの生物処理によって排出される有機性汚泥に分別されます。
いずれの場合も濃縮(のうしゅく)して脱水後に産業廃棄物(はいきぶつ)として廃棄処分されますよ。
汚泥は廃棄前にしっかりと脱水を行ってできるだけ軽く小さく扱いやすいものしなければ、重量や容積が大きくなり高額な廃棄費用が必要になってしまいます。
汚泥は多量の水を含んでいるため、重くかさばり水がしたたるなど扱いにくいものになっていることが多いですよね。
加熱による乾燥(かんそう)や真空乾燥装置を使用しますが、加熱による多量の汚泥の乾燥には多くのエネルギーを消費し、稼働(かどう)費用がかかってしまいます。
真空固液分離装置(しんくうこえきぶんりそうち)や脱水機、セパレーターと呼ばれる機械の使用など、汚泥を少なくすれば産廃(さんぱい)費用をおさえることができます。
汚泥の処理にかかる産廃費用について
排水処理システムにおいて、最も手間と費用がかかるのが余剰(よじょう)汚泥の処理です。
一般にプレス機などを使用して汚泥に圧力をかけ、汚泥中の水をしぼり出します。
汚泥の量、特に水分を減らすことはそのまま産廃処分費を減らすことにつながりますよ。
汚泥を乾燥させるドライヤーや使用する薬品によって汚泥の発生量そのものを減らすなど、各企業が工夫した取り組みをしています。
汚泥処分で使用する容器・容量 | 処分費用 |
---|---|
一斗缶 約16リットル | 約2千円から3千円 |
ドラム缶 200リットル | 約2万円から3万円 |
ケミカルタンク 約1,000リットル | 約5万円から10万円 |
汚泥処理の全国相場(円/kg) | 15円から26円 |
排水処理ではさまざまな方法で汚泥に含まれる水分を減らすことが何よりも重要ですよ。
汚泥の処理費用をおさえるために排水や汚泥の状況などを見極め、最適な装置を組み合わせる必要がありますね。
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排水処理方法を行う設備の仕組み3つと主な水槽3種類

排水処理方法を行う設備には、加圧浮上(かあつふじょう)方式など3つの仕組みがあります。
排水処理に使われる水槽(すいそう)は、凝集反応槽(ぎょうしゅうはんのうそう)など大きく分けて3つの種類があります。
排水処理設備 | ・加圧浮上方式 ・凝集沈殿方式 ・生物処理方式 |
排水処理を行う水槽 | ・凝集反応槽 ・沈降槽、沈殿槽 ・汚泥貯槽、貯留槽 |
工場や施設での排水処理は出される排水の内容によって方法や設備にさまざまな組み合わせが必要になります。
この章では排水の内容に合った設備の仕組みと、必要な水槽の大まかな種類をそれぞれ3つずつ解説しますね。
排水処理方法の違いによる設備の仕組み3つ
排水処理方法を行うには、加圧浮上方式など3つの異なる設備を排水処理方法によって使い分ける必要があります。
<分離方法を行う設備>
- 加圧浮上方式
- 凝集沈殿方式
<分解方法を行う設備>
- 生物処理方式
排水処理においては、方法も設備もどれか1つだけで処理を完了することはできません。
排水の内容が有機物だけだとしても、まず大きな汚濁物質(おだくぶっしつ)を物理的に分離させてから微生物に分解してもらうなど、複数の装置を組み合わせるのが一般的です。
処理が必要な排水に合わせてそれぞれの仕組みや特徴を理解しておけば、適切な設備の組み合わせを選べますよ。
<加圧浮上方式>
加圧浮上方式は分離方法を使用した仕組みで、水より比重の軽い汚濁物質を水面に浮かせて分離する処理方式です。
加圧浮上方式の排水処理装置を使う主な施設は、油が含まれるものを取り扱う食品加工工場、生クリームを使用する菓子工場、乳製品の加工工場などがあります。
共通するのが、排水に含まれている汚れが主に有機物だということですね。
撹拌機(かくはんき)や電動弁、レベルセンサー、圧力を加える加圧ポンプやタンクなど多くの装置が必要になるので、設備は高価になりがちです。
加圧浮上装置は基本的に連続式なので、設備が大きくなる傾向にありますが多くの排水を処理できますよ。
<凝集沈殿方式>
凝集沈殿方式も分離方法を使用した仕組みで、水より比重が重い汚濁物質を沈ませて分離する処理方式です。
金属加工などの際に発生する研磨(けんま)くずなど、重く水に沈みやすい汚れを処理するための方式だと考えましょう。
水に凝集剤(ぎょうしゅうざい)を投入し、沈ませた後に底に溜まった汚れを取り除くことで水をきれいにします。
凝集沈殿方式の排水処理装置は作りがシンプルで、撹拌機や電動弁、レベルセンサーなどで構成されていますよ。
<生物処理方式>
生物処理方式は分解方法を使用した仕組みで、微生物に排水中に溶け込んでいる有機物を食べてもらうという仕組みで、他の装置と組み合わせて使用されることが多いです。
生物処理で微生物が分解できるものは有機物だけなので、無機物は分解されず残ってしまいます。
生物処理の前には無機物を取り除く為に、加圧浮上方式や凝集沈殿方式の排水処理装置が必要になります。
加圧浮上方式または凝集沈殿方式の排水処理装置+生物処理装置の組み合わせで、まず凝集処理をしてから沈殿槽の上澄みを生物処理にかける方法が多く採用されていますよ。
生物処理装置では、微生物が水の中の有機物を分解して処理をするので水槽がいちばん費用のかかる部分になります。
1日の排水量や設備の稼働時間にもよりますが、水槽だけでもすべてを新しく導入する場合、全体で数千万円から1億円以上になることもめずらしくありません。
排水処理に必要な水槽は大きく分けて3種類
排水処理ではさまざまなタイプの水槽を使用しますが、大きく分けて3種類の水槽があります。
- 凝集反応槽
- 沈降槽(沈殿槽)
- 汚泥貯槽(貯留槽)
実際の排水処理では方法や規模、種類によってさらに多くの水槽が必要で、特に生物処理装置では水槽がもっとも費用のかかる部分ですね。
排水量や生物が分解する時間から水槽の設計をしますが、大きな水槽となることが多く、価格はどうしても高くなってしまう傾向があります。
<凝集反応槽>
金属イオンを含む排水処理は排水のpHを調整して対象の金属イオンを水酸化物化させます。
水酸化物化したものを無機凝集剤(むきぎょうしゅうざい)などの薬品で凝集させるための水槽が凝集反応槽です。
<沈降槽(沈殿槽)>
排水に混ざっている凝集処理によって大きくなった汚濁物質を、沈ませてから分離するための水槽が沈降槽です。
分離された水は、ろ過などした後に放流されたり再利用されたりしますよ。
<汚泥貯槽(貯留槽)>
分離・沈降された汚濁物質(フロックと呼ばれる)や汚泥を貯めておくための水槽が汚泥貯槽です。
生物処理装置では、前処理として凝集処理をするための沈殿槽や曝気槽(ばっきそう)といわれるバクテリアなどの微生物に空気を与えるための水槽も必要になりますね。
曝気槽の前後の工程では、調整槽や中和槽、沈殿槽、脱水工程の直前では凝集処理を行うための凝集槽とさらに多くの水槽が必要です。
処理が必要な排水の種類や、施設の規模などに合った設備を整えるために複数の企業や専門家に相談して見積もりをしてもらいましょう。
まとめ

- 排水処理には大きく分けると2種類の方法と装置がある
- 排水量や処理したい排水の内容によって方法と装置の組み合わせを比較し最適な排水処理設備を導入することが大切
- 排水処理では、方法や装置に関わらず必ず発生する汚泥(おでい)を適切に処理して、処分費用をおさえることが排水処理における重要なポイント
- 排水処理方法を行う設備には、加圧浮上(かあつふじょう)方式など3つの仕組みがある
- 排水処理に使われる水槽(すいそう)は、凝集反応槽(ぎょうしゅうはんのうそう)など大きく分けて3つの種類がある
排水処理は私たちの健康や河川の水質維持など、社会的な責任のある重要な取り組みです。
排水処理が必要な施設に向けて多くの企業がさまざまな装置を販売していますから、設備導入の際はしっかりと仕組みや特徴を把握して比較することが大切ですよ。
排水の内容や方法、施設の規模やかけられる費用など、この記事が設備の組み合わせの比較検討の参考になれば嬉しいです。
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