好きなブランドや作品から限定グッズが発売されると知ったら、多少高額でも手に入れたくなりますよね。
しかし、いざ発売されてみたらグッズはあっという間に売り切れ、後日フリマサイトなどで高額転売されているのを見てがっかり…。
あなたはこんな経験をされたことはありませんか?私は何度もあります。
受注生産にしてくれたら転売される心配もなくて、販売者も私もデメリットなんてないのに、と考えてしまいますね。
受注生産をすればいいのに、と思うグッズでも、そうならないのにはデメリットとなる理由があったのです。
受注生産をするデメリットとは何なのか、逆にどんなメリットがあるのかを調べました!
そして耳慣れない言葉ですが、受注生産の反対、見込み生産とは何か、メリット・デメリットも合わせて説明しましょう!
目次
グッズを受注生産するデメリットとは?


受注生産を行うことで、主に3つのデメリットがあります。
そもそも受注生産とはどんな仕組みなのかを簡単に説明しましょう。
受注生産とは、受注を受けてから商品を作り、購入者の手元に届ける販売方法です。
- 試作品を作る
- 試作品を撮影して販売する
- 注文を受け、商品を作る
- 購入者に届ける
特にグッズの受注販売はネット通販で行われることが多いですね。

それでは、受注生産のデメリットを詳しく説明しましょう!
客単価があがらない
購入者側から見ると、欲しいものが確実に手に入るので問題はありません。
しかし、ついで買いやまとめ買いなど、目当てとなる商品以外のを購入することはないですよね。
販売者側からすると、客単価が上がらず利益を得るには、多くの人に購入してもらわないといけなくなります。
在庫があるものを購入するならば、目的の商品があったとしても、たまたま目についた商品をついでに買っておこう!ということもあるかもしれません。
スーパーのレジ横におすすめ商品が置いてあるのは、ついで買いを促進するためだと聞いたことがあります。
つまりお客さん一組ごとの購入価格を上げることで、お店の売り上げを上げようという作戦なのです。
受注生産では、この作戦が使えないため、利益をあげることが難しいようです。
初めからセットで販売をして単価を上げるという手段もありますが、値段が高くなってしまうと購入者数が減ってしまう可能性がありますね。
材料や加工前商品の在庫が無い

この在庫は、販売商品そのものの在庫ではなく、商品を作るための材料や加工前の商品を指します。
もととなる材料や加工前の商品在庫がないので、商品を製作することができなくなるということなのです。
Tシャツを受注生産すると考えるとわかりやすいでしょう。
学生時代にクラスTシャツを作ったことがあるとわかりやすいですが、あれは、もともと業者がかかえている無地のTシャツに柄をプリントしているのです。
大きなイベント物販などで作られているTシャツもクラスTシャツと同じように、作られています。
在庫がない、ということは、無地Tシャツの在庫がない、ということなのです。
計画時点ではグッズを作成する業者に在庫がたくさんあっても、販売期間を終えていざ作ろうとしたら在庫がない、という可能性があります。
Tシャツだと在庫がないというイメージがしにくいかもしれないですが、他のグッズではどうでしょう?
アニメや漫画の受注生産グッズに多い、アクセサリーや財布などの小物類で想像してみましょう。
ネックレスを作るにしても、チェーンをこだわったり、ポイントとなる飾りを凝ったりしたら在庫では間に合わない気がしませんか?
財布も、ベースとなる形が決まっていても、作品のイメージに合わせた飾りをつけるなど、こだわりがあると、制作する業者に材料の在庫があるのかもわからないですね。
作品のイメージに合わせて作成すると在庫がない分、原価が高くなり、商品の値段が高くならざるを得なくなります。
先ほどセット販売について触れた際にもありましたが、商品の値段が高くなると購入者を増やすことが難しくなりますね。
できるだけ安価でグッズを作ろうと思ったら、Tシャツのように業者がたくさん在庫をかかえているような「売れ筋商品」でなければならないのです。
そのため、在庫がないということが受注生産のデメリットになるのですね。
最小生産数を超えられない

私のように、あなたも考えたのではありませんか?しかし、ここにもデメリットがあったのです!
大量生産しない商品を作る際には、発注するのに最小生産数が決められています。
0から作るとなると、請け負った業者が普段大量生産している商品製作工程の一部を、変更やストップをして受注生産商品を作ることになります。
業者も利益をあげないといけないので、本来であれば得られた収入分は受注生産でも、まかないたいはずです。
受注生産品が100個売れれば業者の利益を確保できるとしましょう。
しかしいざ販売を始めて、50個しか売れなければ、製作業者が損をしてしまいますよね。
この最低ラインを越えるように、最小生産数が決められています。
そのため、ある程度の販売数が予測できるものでないと、受注販売をするのは難しくということなのです。
ときどき「目標生産数に達しなければ販売しない」というものもありますが、買い手の満足度を考えたら避けたいところですね。

グッズを受注生産するにはメリットもある!

デメリットはいくつかありますが、受注生産での販売をしている商品は意外と多いですよね?
受注生産にはデメリットばかりだけでなく、メリットもたくさんあるのです!
続いて、グッズの受注生産をするメリットについて説明します!
生産すべき数量がわかる
売れた分だけ作ればいいので、作るべき数量を正確に把握することができます。
不良品があった場合の交換対応用などに、少し数に余裕はあった方が良いですが、基本的には売れた分だけを作って販売するので、在庫になりません。
また、売れなかった時に、グッズの制作費を販売者が負担し損をする、というリスクがなくなるので安心です。
商売が苦しくなる原因の一つが、過剰在庫であるといいます。
このリスクを回避できるのは大きなメリットですね!
私は着物が好きで、たまに着ているのですが、着物の小物にも受注生産していたものがありましたよ。
着物の小物類は、小物とはいえ値段が安いとは言えない物が多いです。
ましてや、こだわりの素材などを使用したものでは大量生産してしまったときに売れなかったらと思うと、リスクが大きいですよね。
そういったものを受注生産で販売することによって、必要な分だけを生産すれば良くなるので売れ残るリスクを負わずに済みます。
もともとが高価なアイテムほど、受注生産に向いていると言えるでしょう。
初期費用が少ない
受注生産で販売するには、サンプルを作り、それを見て購入者が注文します。
そのため始めの1つを作ってしまえば余分な数のグッズを作る必要がありません。
つまり販売者が負担するのは、サンプルになる初めのグッズ制作費だけということになります。
それもある程度の個数が販売できれば、相殺され、販売者が利益を得ることができるでしょう。

サンプルを作成せず、画像などの参考資料がなしで受注生産するのならば、単純に考えると初期費用は0にすることもできます。
これは販売者目線ではかなり大きなメリットになると考えられます。
丁寧にグッズを作ることができる
大量生産しているものだと、流れ作業で作られることを想像すると思います。
しかし、受注生産をすると、納期設定に余裕を持たせることができるため、一つ一つのグッズを丁寧に作成することができます。
顧客の要望を聞いて、希望通りに仕上げることもできるので、唯一無二の商品を作成できることもメリットの1つですね!
流れ作業でなく、一つ一つ丁寧に製作されるものが多いので、不備のある商品も少なくなります。

競合他社と差別化し、高品質な商品を販売するには、受注生産の方が向いているようですよ。
周りの人と被りにくい
こちらは買い手側のメリットとしておまけのようなものではありますが、限定の人しか持っていないという優越感があります。
受注生産は期間限定で販売されていることが多いので、その期間に購入できなかった人は手に入れることができません。
そのため、限定品という要素があり、日常的に使う小物でも周りの人と被りにくいのです。
人気の商品は周りが持っていると自分も欲しいと思いますが、周りでこのグッズを持っているのは自分だけ!というのは嬉しいですよね。
また、受注生産品を仲の良い友達や、パートナーとお揃いで持つことができたら自分たちだけのグッズを持っている気分になれそうではないですか?
限定的で手に入りにくい受注生産グッズですが、限定ならではの特別感がありますよね。
グッズの受注生産と見込み生産の違いは?

受注生産の対義語に見込み生産があります。聞き慣れない言葉ですが、見込み生産がどのようなものなのかメリットとデメリットを説明します!
受注生産と見込み生産の違いは、受注が先か、生産が先かという点です。
まずは見込み生産のメリットから見てみましょう!
見込み生産のメリット
- リードタイムが短くなる
- 多様性の高い商品を作成するのに向いている
リードタイムとは、生産を開始してから納品するまでの期間のことで、受注生産はこの期間を長く設けることができるため、丁寧に制作ができるということでしたね。
見込み生産では、リードタイムを短くすることで、複数の顧客に納品するグッズをまとめて一度に生産することができます。
複数の商品に使う在庫を大量に確保しておくこともできるので、受注生産のデメリットであった在庫がない、という状況にもなりにくいです。
顧客にとっても、注文してから納品されるまでの時間が短くなるため、より早く消費者の手元に届けることができるようになります。
すでに出来上がっている在庫を納品するだけという場合もあるので、素早い納品で顧客満足度を高めることもできるのです。
また、同じような行程で制作できるグッズを複数作ることで、無理な生産をしなくてよくなりコスト削減にも繋げることができます。
競合他社に対抗し、無理な受注生産を行ってしまうと、製造工程を変えるなどし時間もコストもかかってしまいデメリットが多くなってしまうのです。
そのことを避けるためにも、見込み生産にて似たような物を大量に作成することで、商品戦略を立てることができるのです。
見込み生産のデメリット
- 在庫をかかえるリスクがある
- 無理な納期設定になる可能性がある
見込み生産の場合は「これくらい売れるだろう」という予測をしてグッズを作成します。
そのため、予想を大幅に下回りグッズが売れなければ、在庫を大量にかかえてしまいます。
さらに、販売者は制作費用ばかり掛かってしまい損をしてしまう可能性があるのです。
在庫が多くなれば、保管するスペースや製品を良い状態で保存するための管理コストも必要となるため、その分費用がかかってしまいます。
在庫が多くなるということは、グッズが売れず、販売者にお金が入ってこないということなので、資金繰りも難しくなりますね。
また、競合他社よりも多く顧客からの受注を得るために、無理な納期設定になる場合があるようです。
多様性の高いグッズが作れる見込み生産では、多くの他社も同じような条件で生産、販売ができるため、競争が激しくなります。
その分、納期を短くし他社と差をつけて顧客に選んでもらうように販売する業者も力を入れます。
そのために納期設定が短くなり、生産するための時間が短くなってしまうようなのです。
まとめ

- グッズを受注生産するデメリットは客単価があがらない、在庫が無い、最小生産数を超えられないことがあげられる
- 受注生産をすると、客単価が低くなるため、1個の値段が高額になり販売数の確保が難しくなる
- 受注生産はオリジナルのグッズを作成することが多くこだわりが強いため、材料の在庫確保が難しい
- 受注生産ならば生産すべき数量が明確になり、在庫をもつというデメリットがないうえに、購入されてから作成するため初期費用が少なくて済む
- 受注生産ならば注文を受けてから製造を開始するため、丁寧にグッズを作ることができる
- 見込み生産と受注生産の違いは、受注が先か、生産が先かという点である
- 見込み生産は一度に大量のグッズを作成するのに向いており、より早く消費者に商品を届けることができる
- 見込み生産では売れなかった場合に在庫をかかえてしまうリスクがあり、他社よりも良い条件で生産しようとすると、無理な納期設定になることがある
受注生産をする上でのデメリットがわかり、販売側にも受注生産を行わない理由があることがわかりましたね。
転売で悔しい思いをした私は転売ヤーを許さない、とは思いつつも仕組みが理解でき、たくさんあった文句が少し減りました(笑)
しかしメリットもたくさんあったので、グッズが転売されないためにも販売者には受注生産をうまく利用して欲しいと思います。