あなたはユネスコ世界遺産である、ベネチアをご存じでしょうか。
イタリアの国にある都市で水の都と呼ばれる観光名所です。
私は昔、地球温暖化が問題視されていた頃に学校の授業でこの都市を知りました。
やはり世界遺産と言われるだけあって、写真で見ても綺麗な都市ですよね。
レンガの建物が並び、水位が上がった運河とそこを行き交うゴンドラがなんとも美しく有名です。
是非人生に一度は行ってみたい海上都市ですよね。
が、しかしその美しさとは裏腹に地球温暖化による水没の危機にさらされています。
現在は「モーゼ計画」という対策を進められていますが、それは一体どんな対策なのでしょう。
今回はそれを探っていきます。
目次
ベネチアはなぜ水没した?現在もモーゼ計画は実行されているのか。
世界遺産のベネチアは一体どのような国で、なぜ水没の危機にさらされているのでしょうか。
ベネチアにしかできない街並みの美しさ

ベネチアの町の特徴はなんといっても綺麗な街並みですが、実は道路が狭く曲がりくねっていて行き止まりが多いのです。
そんな迷路のような路地ですが、現在水路になってしまい車や自転車が使えません。
ですが水路になったからこそ体験できる、たくさんの観光地があります。
定番観光スポットといえば、サンマルコ広場・サンマルコ寺院・ドゥカーレ宮殿などがありますよね。
中でも夕日が落ちる瞬間が人気で、建物の下の水面に夕日が美しく映ります。
これはベネチアだからこそ見られる景色ですよね。
そしてその観光スポットを巡るための交通手段が2つあります。

1.ヴァポレット
→小型の船のような水上バス。チケットを購入すれば乗ることが出来ます。
2.ゴンドラ
→手漕ぎボート。歌を歌ってくれる人もいます。
各場所に乗り場がありますので、行ってみる際は是非活用しましょう。
そしてちょうど今の時期、2月から3月にかけて大きなお祭りがあります。

カーニバル(謝肉祭)というお祭りで、ドレス姿に仮面をかぶった人々があちらこちらに現れます。
世界三大カーニバルの1つとして有名で、昔戦いに勝った人々が踊り始めたのがきっかけなんです。
なぜ仮面をかぶっているのかというと、顔を隠して交流することで日常のストレスから解放されます。
このカーニバルはおよそ300万人が参加し、写真撮影や仮面コンテストが行われています。
そして次に海外旅行で注意したいのがスリです。
私の友人が海外に行った時の実際の話です。
広場で綺麗なお姉さんが踊っていたのですが、手招きされたので行ってみると写真を撮ろうと話してきます。
そしてこころよく引き受けると、なんとモデル料としてお金を請求してくるのです。
その友達は1000円払い、後からその話をゴンドラのお兄さんに話すと「それ騙されてるよ。」と言っていたそうです。
日本ですとこんなことはまぁないので、海外へ行くとまんまと引っかかってしまいます。
ですから、もしあなたもベネチアに行くのならスリなどに気を付けてくださいね。
モーゼ計画とは、大きな壁で高潮を防ぐ計画

モーゼとは旧約聖書の「出エジプト記」に出てくる預言者で、海を真っ二つに分けたといわれている聖人です。
そのモーゼという名前からとった「モーゼ計画」ですが、一体それはどんな対策なのでしょうか。
2003年からモーゼ計画という大きなプロジェクトがべネチアで進んでいます。
モーゼ計画とは、11月から12月の間にベネチアに入ってくる高潮を大きな壁でせき止めようという計画です。
なんとも物理的で冗談のように聞こえますが、イタリア人は本気でこの計画を実行しています。
高さ約30m・幅約20mの金属製の壁を78基海中に沈め、高潮をせき止めます。
普段は海に埋め込まれていますが、110cmまで高調すればコントロールセンタにより持ち上がるように設計されています。
そしてリド・マラモッコ・キオジャヤの水路にフラップゲート(水流が逆流しないようにするためのゲート)が設置されます。
実はこの計画は一部の政治家に批判されており、環境保護団体もこの防壁で海の生態系が崩れると反対されていました。
しかし、水没を防ぐためにはモーゼ計画を実行しなければなりません。
このモーゼ計画は、相当慎重に行われているため長年延期を繰り返していました。
そしてなかなかモーゼ計画が実行されないことに対し、国民はこのような皮肉めいたものを作りました。
今朝の新聞より:
地方紙なのでベネチアのアクアアルタ情報がメインなのだが、この写真の皮肉がきいている。
浸水を阻止するためのモーゼ計画が進まないので自分自身でモーゼを作ってしまったようだ。#ベネチア#アクアアルタ#イタリアあるある pic.twitter.com/pw2swNO5EQ— yomoghi@イタリア (@yomogi_madamada) November 18, 2019
引用:Twitter
水の流れを「MOSE」と書いた板で防いでいますが、なんとも皮肉で早く稼働してほしいと伝わる写真です。
ですがついに2019年モーゼ計画はほぼ完成しているようで、稼働が始まる予定は2020年からといわれています。
年々水害が酷くなってきているため、早急な対応をしていただきたいですね。
モーゼ計画は実行されているが、対策費用は予算オーバー

このモーゼ計画は全体事業費が予定では3000億円だったのですが、7300億円にものぼりました。
全体事業費は全額イタリアが負担されますが、維持費や管理費が11億円もかかるといわれています。
この金額からすると、かなり壮大な計画だったということが分かりますね。
水没はアクアアルタと地球温暖化による海面上昇が原因

ベネチアは、年々水面の水位が上がっており、こんなに街並みがきれいなのもしばらくの間です。
ではなぜベネチアは水没の危機にさらされているのでしょうか。
ベネチアは11月から12月、秋から冬にかけて洪水シーズンになります。
この洪水の原因は以下の3つです。
- 満潮(海面の高さが一番高い状態)
- 南風(モロッコと呼ばれる南からの風)
- 低気圧
この3つがちょうど同時期に重って、大雨が降り海面が上昇していきます。
この現象を「アクアアルタ」とイタリア語で呼ばれています。
他にも海面が上昇する原因として地球温暖化が影響しており、極端に水位が上がることはないのですが年々増加しています。
2019年ナポレオンが世界一美しい広場と称した「サンマルコ広場」と、その向かいの「サンマルコ寺院」が浸水しました。
大人の太ももまで水位があがっており、家の中も地面が見えないくらい浸水しています。
世界遺産「水の都」ではなく「水没の都」ですね…
ちなみにこうした水害による被害額は、およそ1200億円を超えているそうです。
Swimmer takes a dip in the floodwaters of Venice’s St. Mark's square after the iconic tourist attraction was submerged by more than one meter of water https://t.co/6P5CX1jOSn pic.twitter.com/pt5FKVJjAP
— Reuters (@Reuters) November 13, 2019
引用:Twitter
これは、ベニスのセントマークスクエアで泳いでいる人を撮影した動画です。
まだこの方たちは泳げるほど余裕に見えますが、この先どんどん地球温暖化が進むとなると恐ろしいですよね。
ベネチア人は「hi!tide」というアプリを使って水位の高さをチェックし、水害に備えています。
こうした水害はベネチアだけでなく日本はもちろん他国でも影響が出ており、ニュースでも取り上げられていますよね。
では、この世界遺産ベネチアが水没してしまう対策は実際されているのでしょうか。
ベネチアの水没は他人事ではない、日本も水没する可能性がある?!

日本の水害は、ここ数年ニュースで話題になっていますよね。
私は以前土砂降りの大雨の中、傘は風で飛ばされ雨水も膝まできているのに必死で歩く人たちの様子をニュースで見ました。
そしてその時、避難勧告が出されていました。
この先地球温暖化が進むと日本は海に沈むといわれています、心配ですよね。
ちなみに、2019年7月19日に公開された新海誠監督の映画「天気の子」はご覧になりましたか?
この映画には、雨が続いて東京が水没しているシーンがありましたが、日本はこの水没に対して対策をしているのでしょうか?
日本は世界最大級の水害対策が行われている
実は、日本はすでに水害対策がされています。
首都圏外殻放水路(しゅとけんがいかくほうすいろ)という通称「地下神殿」という巨大空間です。
治水施設である #首都圏外郭放水路 はこれまでに121回洪水を取り込みました。
流れ込む5つの河川のうち、取り込んだ回数が一番多いのは第3立坑につながっている #倉松川 です。
河川ごとの内訳はイラストのとおりです。#江戸川 #中川 #地下神殿 pic.twitter.com/Lv5KqJoQlf
— 国土交通省 江戸川河川事務所 (@mlit_edogawa) February 17, 2020
引用:Twitter
これは地下50m、長さ6.3kmの空間で、集中豪雨が来ればこの空間に雨水が流れ込むというわけです。
なんと東京ドームおよそ14杯の雨水を溜められ、2日ほどで放水できます。
そして溜まった雨水は、東京にある江戸川へポンプで調整しながら流されます。
この地下神殿の建設費用は2300億円で、SNSでは、

という声もある中、

と、称賛の声もありました。
ベネチアのように「壁を作る」ではなく「地下を掘る」のですね、あっぱれです。
実はもう稼働されているのですが、初めてフル稼働したのは2015年の関東・東北豪雨の時です。
そしてその4年後の2019年も稼働しました
もしこの地下神殿がなかったとしたら、日本は水没が始まっていたのかもしれませんね。
まとめ

- ベネチアは現在道路が水路になっている。
- 定番の観光スポットが数多くあり、移動手段は水上バスとゴンドラ。
- 11月から12月にかけてアクアアルタという洪水シーズンになる。
- 地球温暖化の影響で年々水面が上昇している。
- 2019年サンマルコ広場とサンマルコ寺院も浸水した。
- 水害による被害額はおよそ1200億円超え。
- ベニスのセントマークスクエアで人が泳げるほど水位が上がっている。
- モーゼ計画とは高潮を大きな壁で食い止める計画。
- 稼働は2020年予定といわれている。
- モーゼ計画の事業費用は7300億円。
- 維持費管理費が11億円もかかる。
- 東京では地下神殿という水害対策が行われている。
- 地下神殿の建設費用は2300億円。
いかがでしたでしょうか。
ベネチアのことを知っていただけましたでしょうか?
私たちにできることはただひとつ、二酸化炭素排出量を減らす事です。
地球温暖化対策をして世界遺産を守っていきましょう。